事業承継・M&Aにおける『みなし相続財産』とは?その税務とリスク管理を解説

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事業承継・M&Aにおける「みなし相続財産」とは?

みなし相続財産は、事業承継やM&Aにおいて、相続税計算の際に注意が必要な要素の一つです。これは、相続税法で定義される相続財産に加えて、実際には相続財産ではないものが相続財産とみなされる場合に課税対象となる財産のことです。一般的に、相続や遺贈によって取得された財産が課税対象ですが、相続時に「みなし相続財産」として扱われるものはこれに含まれます。

みなし相続財産の具体例としては、生命保険金や死亡退職金が挙げられます。これらは被相続人が亡くなった際に支払われるものですが、相続財産として扱われるケースが多く、相続税の対象となることがあります。


みなし相続財産の具体例

事業承継やM&Aに関連する場面では、以下のような資産がみなし相続財産として扱われる可能性があります。

1. 生命保険金

生命保険の死亡保険金は、受取人が指定されている場合でも、一定額以上はみなし相続財産として相続税の対象になります。事業承継の際に、会社経営者が生命保険を活用して後継者に資金を残すケースが多いため、この点は重要です。

2. 死亡退職金

被相続人が会社の経営者や従業員だった場合、死亡退職金が支給されることがあります。この死亡退職金も、みなし相続財産として相続税の対象となることがあります。

3. 定期金に関する権利

定期的な年金や補償金などの権利も、被相続人が亡くなった時点でみなし相続財産として扱われる可能性があります。


みなし相続財産と通常の相続財産の違い

通常の相続財産は、被相続人が亡くなった時点で所有していた不動産や預貯金などの財産が含まれますが、みなし相続財産は、亡くなった後に取得されるものが対象です。たとえば、生命保険の死亡保険金は、被相続人が死亡後に支払われるものですが、それでも相続税の計算上は相続財産とみなされます。

これにより、後継者や相続人が予期しない税負担を負う可能性があるため、事前の対策が不可欠です。


事業承継やM&Aにおけるみなし相続財産のリスクと対策

事業承継やM&Aを進める際、みなし相続財産を適切に把握し、相続税の負担を最小限に抑えることが重要です。

1. 生命保険の活用と注意点

事業承継の資金調達手段として生命保険は有効ですが、死亡保険金がみなし相続財産となり、多額の相続税が発生する可能性があります。事前に保険契約の内容を精査し、税負担を軽減するための対策を講じることが求められます。

2. 死亡退職金の扱い

会社経営者が退職する際に支給される死亡退職金もみなし相続財産となるため、その金額や支給時期についても計画的に検討する必要があります。事業承継やM&Aのタイミングに合わせて適切な計画を立て、相続税の負担を軽減することが可能です。

3. 税務リスクの管理

みなし相続財産の把握とその管理は、事業承継の成功に向けた重要な要素です。相続財産全体のバランスを考慮し、後継者や相続人に過度な税負担を負わせないようにするためには、税理士やコンサルタントの専門的なサポートが必要です。


みなし相続財産の課税方法

みなし相続財産は、相続税の課税対象として扱われるため、相続税申告において適切に処理しなければなりません。具体的な課税方法は以下の通りです。

1. 生命保険金の課税

生命保険金の場合、非課税枠が設けられています。被相続人一人あたり「500万円 × 法定相続人の数」が非課税額となり、それを超える部分が課税対象です。この非課税枠を上手に活用することで、税負担を軽減できます。

2. 死亡退職金の課税

死亡退職金にも生命保険金と同様に、一定の非課税枠が適用されます。非課税限度額は「500万円 × 法定相続人の数」となっており、これを超える部分に対して相続税が課されます。


まとめ

事業承継やM&Aの過程で、みなし相続財産の存在を理解し、適切な対策を講じることは、後継者や相続人にとって重要な課題です。生命保険金や死亡退職金など、みなし相続財産は相続税の計算上大きな影響を与える可能性があるため、事前の計画が欠かせません。

事業承継やM&Aを成功させるためには、税務リスクを軽減し、経営の安定を図るための対策を早めに講じることが重要です。みなし相続財産について理解を深め、専門家の助言を受けながら適切なプランを立てることが、円滑な事業承継とM&Aの実現につながります。

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