中小企業向け「非上場株式評価に必要な会社規模の判定基準とは?」

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1. 概要

非上場株式の評価は、事業承継やM&Aにおいて重要な要素となります。この評価には、株式を発行している会社の「会社規模」を正確に判定することが必要です。なぜなら、会社規模によって評価方法や計算基準が異なるためです。中小企業の株式評価では、特に国税庁が定める基準に基づいて会社の規模を判定し、その結果によって評価手法が変わってきます。

2. 会社規模の判定基準

会社の規模を判定する際の主な基準には、以下の項目が含まれます:

  1. 従業員数

    • 常勤従業員の人数に基づいて、大企業か中小企業かを判定します。大規模な会社ほど、収益性や市場の影響力が高く評価される傾向にあります。
  2. 年間売上高

    • 年間の売上高が一定額以上の場合、より大規模な企業と見なされます。この指標は、その企業が市場でどれほどの規模で事業を展開しているかを示す重要な要素です。
  3. 資本金の額

    • 資本金の額も、会社の規模を測る上で重要な基準です。多額の資本金を持つ企業は、それに応じた責任と期待があり、評価基準も異なります。
  4. 総資産額

    • 会社の保有する資産総額によっても評価が変わります。大規模な設備や不動産を所有する企業は、それに基づいた評価を行います。

3. 会社規模の分類

会社規模の分類には、次のようなカテゴリがあります:

  • 大規模会社

    • 従業員数や売上高、資本金の水準が非常に高い企業が該当します。この規模の企業は市場での影響力が強く、評価が高い傾向にあります。
  • 中規模会社

    • 大規模企業ほどではないが、一定の規模と安定した経営基盤を持つ企業がこのカテゴリーに含まれます。
  • 小規模会社

    • 従業員数や売上高が比較的少なく、資本規模も小さい企業です。一般に中小企業はこの範疇に入りますが、将来的な成長性が高い企業も存在します。

4. 会社規模による評価手法の違い

会社規模に基づいて、非上場株式の評価手法は異なります。大規模企業と小規模企業では、評価に用いる係数や算定基準が変わるため、それぞれの評価方法についても理解が必要です。

大規模企業の場合

類似業種比準方式など、上場企業のデータや業界標準を基に評価を行うことが多いです。これは、同じ業界での競争力や業績を比較することで、企業の相対的な価値を算出します。

中小企業の場合

中小企業では、純資産価額方式など、企業の内部資産を基に評価を行うことが一般的です。この方式では、企業が保有する資産(不動産、設備など)の価値が反映されるため、財務基盤の強さが評価の主な指標となります。

5. 会社規模判定の実務的な影響

非上場企業の株式評価において、会社規模の判定は単なる分類以上に重要な影響を及ぼします。例えば、事業承継の際に適用される税制優遇措置や、M&A時の買収価格の妥当性を判断するための基準にも関連します。

  • 税務対策

    • 会社規模の判定によって、株式譲渡や相続時に適用される税制優遇が異なるため、事業承継計画を立てる際には事前に正確な規模判定が必要です。
  • M&A戦略

    • 会社規模に応じた評価手法を適用することで、適正な企業価値が算出され、買収価格の交渉がスムーズに進められます。

6. まとめ

非上場株式の評価における会社規模の判定は、事業承継やM&Aにおいて極めて重要なプロセスです。従業員数、売上高、資本金、資産総額などの要素を基にして、正確な会社規模を判定することが求められます。また、会社規模によって適用される評価手法も異なるため、事前に正確なデータを基に計画を立てることが、円滑な承継や取引に繋がります。

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