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はじめに
2025年9月19日より開始された「省力化投資補助金(一般型・第4回公募)」は、中小企業の省人化投資を支援する制度として大きな注目を集めています。
本制度はすでに第3回公募が実施されており、多くの企業が応募しましたが、第4回公募では「より厳格化」「明確化」された要件や新しいポイントが加わっています。
本記事では、第3回公募と第4回公募を比較し、違い・強調された点・新たに明確化された点を網羅的に解説します。今後の申請を検討している方はぜひ参考にしてください。
1.制度の基本概要(共通点)
まずは両公募に共通する基本的な枠組みを整理します。
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目的:人手不足解消・生産性向上・賃上げ実現
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対象者:中小企業、小規模事業者、再生事業者、一定のNPO法人や社会福祉法人
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補助上限額:従業員数に応じて750万円〜8,000万円(特例で最大1億円)
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補助率:
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中小企業:1/2(特例で2/3)、1,500万円超部分は1/3
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小規模企業者・再生事業者:2/3(1,500万円超は1/3)
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事業実施期間:交付決定日から18か月以内(採択発表日から20か月以内)
つまり「資金規模」「補助率」の大枠は、第3回と第4回で大きな変化はありません。
2.スケジュール面の違い
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第3回公募
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スケジュールは公募開始時点では「詳細は後日発表」とされ、不透明な部分が多かった。
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採択発表時期も流動的で、申請企業は準備の計画を立てづらかった。
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第4回公募
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公募開始日(9月19日)が明記され、受付開始日・締切・採択発表の流れも整理されている。
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採択後の事務フローも詳細化され、事業者にとってスケジュール感がつかみやすくなった。
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👉 ポイント:第4回では「透明性と予見性」が向上し、計画的に準備しやすくなった。
3.補助対象経費の明確化
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第3回公募
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機械装置費・工具費・リース料・外注費などが中心。
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クラウドサービス利用費についても記載あり。
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第4回公募
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「クラウドサービス利用費」が明確に対象経費として追記された。
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一方で「単純なソフト導入」「既存システムのバージョンアップのみ」といったものは補助対象外と明確化。
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👉 ポイント:第4回では「対象経費」と「対象外経費」の線引きがより厳格になり、審査時に迷いが生じないよう整理された。
4.対象外事業者の厳格化
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第3回公募
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大枠として「暴力団関係者」「不正受給歴のある事業者」などを対象外として規定。
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第4回公募
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より具体的に列挙し、制裁も強化。
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他社と酷似した計画を提出した場合は「次回または次々回の申請不可」などペナルティを明示。
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外部支援者が複数社に同一計画を使い回すケースも排除対象。
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労働法違反で送検歴のある事業者、GビズIDを他者に貸与する事業者も対象外に。
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👉 ポイント:第4回は「形式的・不正的申請の排除」に重点を置き、信頼性ある申請を促す姿勢が強調された。
5.審査
第3回・第4回 共通
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書面審査+口頭審査
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加点要素あり(賃上げ計画、最低賃金引上げ対応、DX/GX推進など)
👉 口頭審査は導入済み。第4回も継続して実施
6.事業実施・義務の違い
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第3回公募
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交付決定日から18か月以内に事業を完了。
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5年間の効果報告義務あり。
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第4回公募
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同じく18か月以内だが、新たに導入設備への保険加入(自然災害含む、付保割合50%以上)が必須に。
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善管注意義務を徹底し、リスク管理を強化。
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👉 ポイント:第4回は「リスクマネジメント」を制度的に組み込み、導入設備の保全を義務化。
7.まとめ:第3回→第4回で変わったこと
制度の骨格は維持
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補助上限額・補助率・対象者は大枠変わらず。
第4回で強化・明確化された点
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スケジュールの透明化 → 予見性が増し、計画立案が容易に。
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対象経費の明文化 → クラウドサービス費を追加、対象外も明示。
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対象外事業者の厳格化 → 不正・形式的申請を徹底排除。
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審査の強化 → 書面+口頭審査で実効性を重視。
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新義務の追加 → 導入設備への保険加入を必須化。
今後の申請者へのアドバイス
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形式的な省人化では不十分:浮いたリソースをどう活用し、付加価値や賃上げに結びつけるかが重要。
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実現可能性の裏付けが必須:省力化指数・付加価値額の算出根拠を具体的に示す。
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外部支援の選定に注意:不適切なコンサル依頼は不採択リスクを高める。
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早めの準備:GビズIDの取得、見積取得、社内体制づくりは必須。
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