人手不足が深刻化するなか、外国人材の採用を検討する中小企業が増えています。
人手不足を放置すれば、受注できる仕事を断らざるを得なくなったり、営業時間を短縮したり、既存顧客へのサービスを継続できなくなったりする可能性があります。人材確保は、単なる採用活動ではなく、事業を継続し、売上を維持・拡大するための重要な経営課題です。
外国人材の採用や定着を検討する際には、国の助成金を活用できる場合があります。
2026年度に確認しておきたい制度は、次の3つです。
- 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
- キャリアアップ助成金(正社員化コース)
- トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
ただし、これらは外国人を雇用すれば一律に支給される助成金ではありません。対象となる労働者、採用経路、雇用形態、企業が実施する取組など、制度ごとに条件が異なります。
本記事では、厚生労働省の2026年度公表資料をもとに、助成額、対象者、受給要件、外国人雇用で活用する際の注意点を整理します。
※本記事の制度情報は2026年10月30日時点で確認した資料に基づきます。制度改正や個別の適用条件によって取扱いが異なる場合があるため、申請前に最新の公表資料をご確認ください。
この記事の結論
外国人雇用で助成金を活用する際は、次の3点を押さえましょう。
- 外国人労働者の定着を支援する制度では、20万円、上乗せ措置を実施した場合は25万円の助成を受けられる可能性がある。
- 非正規雇用の外国人労働者を正社員化する場合、キャリアアップ助成金の対象になる可能性がある。中小企業では1人当たり最大80万円の区分がある。
- トライアル雇用助成金は、外国人であることだけでは対象にならない。求職者の属性や紹介経路など、所定の条件を満たす必要がある。
いずれも、申請前の計画や制度整備が重要です。雇用してから制度を調べ始めるのではなく、採用・転換・職場環境の整備に着手する前に確認することが大切です。
1.外国人雇用で使える助成金の比較
まずは、3つの制度の違いを確認しましょう。
| 制度名 | 主な目的 | 助成額の目安 | 主な活用場面 |
|---|---|---|---|
| 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース) | 外国人労働者の職場定着 | 20万円、上乗せ措置を実施した場合は25万円 | 外国人材が働きやすい職場環境を整備する |
| キャリアアップ助成金(正社員化コース) | 非正規雇用労働者の正社員化 | 中小企業で1人当たり20万~80万円 | 有期・無期雇用の外国人労働者を正社員化する |
| トライアル雇用助成金(一般トライアルコース) | 就職が困難な求職者の試行雇用 | 原則月額4万円、最長3か月。対象者によって月額5万円 | 要件を満たす求職者を試行雇用し、継続雇用を検討する |
※助成額は、各制度の所定の要件を満たした場合の金額です。実際の支給額は、企業規模、対象労働者の区分、雇用形態、支給対象期間などによって異なります。
2.人材確保等支援助成金|外国人労働者の定着に取り組む企業向け
どのような助成金なのか
人材確保等支援助成金の「外国人労働者就労環境整備助成コース」は、外国人労働者が働きやすい環境を整え、職場定着を促進する事業主を支援する制度です。
言語の違いや、日本の労働法制・雇用慣行に関する知識の不足などによって、外国人労働者との間で労働条件や職場のルールをめぐる認識の違いが生じる場合があります。
こうした課題に対応するため、雇用管理体制を整備したり、就業規則や雇用契約書などを多言語化したりする取組が支援対象となります。
採用人数を増やすことだけでなく、採用した人材に長く働いてもらうことを目指す企業にとって、検討する価値のある制度です。
助成額
2026年10月1日以降の改正内容では、助成額は次のとおりです。
| 区分 | 助成額 |
|---|---|
| 所定の就労環境整備措置を実施 | 20万円 |
| 基本措置に加え、一時帰国のための休暇制度を整備・実施 | 25万円 |
※上乗せ措置を実施した場合の合計額です。20万円に25万円が加算され、45万円になるという意味ではありません。
主な対象事業主
外国人労働者を雇用している事業主が対象となります。
ただし、外国人を雇用していることだけで支給されるわけではありません。認定された就労環境整備計画に基づいて必要な措置を実施し、離職率に関する要件なども満たす必要があります。
必要となる主な取組
2026年10月1日改正後の制度では、次の取組が重要です。
| 取組 | 内容 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 雇用労務責任者の選任 | 外国人労働者の雇用管理を担当する責任者を選任する | 所定の役割を担える体制を整備する |
| 雇用労務責任者による面談・相談対応 | 外国人労働者との面談や苦情・相談への対応を行う | 離職率算定期間を含め、原則3か月ごとに1回以上の面談を実施する |
| 雇用労務責任者講習の受講 | 外国人労働者の雇用管理に関する所定の講習を受講する | 受講要件と必要書類を確認する |
| 就業規則・社内マニュアル等の多言語化 | 必要な文書を外国人労働者が理解できる言語に対応させる | 就業規則または労働協約、労働条件通知書または雇用契約書、社内マニュアルをそれぞれ1種類以上多言語化する |
| 一時帰国のための休暇制度 | 外国人労働者が一時帰国する際の休暇制度を整備する | 上乗せ助成の要件に沿って制度を整備・実施する |
※表は主な取組の整理です。措置の具体的な内容、実施方法、必要な証拠書類については、2026年10月1日版の支給要領・ガイドブックで確認してください。
離職率の要件にも注意
この助成金では、就労環境整備計画期間の終了後、6か月経過後における外国人労働者の離職率が15%以下であることが、主な支給要件の一つです。
そのため、書類を多言語化すれば必ず助成されるわけではありません。
採用後の面談、相談への対応、職場のルールの説明など、外国人労働者が働き続けられる環境を整備することが重要です。
2026年10月1日の改正で何が変わったのか
2026年10月1日付の改正では、支給額の見直しに加え、就労環境整備措置に関する要件が変更されました。
主な変更点は次のとおりです。
- 助成額が20万円、上乗せ措置を実施した場合は25万円に変更された。
- 独立した「苦情・相談体制の整備」という措置が廃止され、雇用労務責任者による苦情・相談対応が要件となった。
- 雇用労務責任者による面談について、離職率算定期間を含め、3か月ごとに1回以上の実施が求められるようになった。
- 外国人労働者雇用労務責任者講習の受講が要件となった。
- 多言語化の要件が整理され、就業規則等、労働条件通知書等、社内マニュアルについて、それぞれ1種類以上の多言語化が求められるようになった。
- 講習の受講証明書を提出した場合に離職率要件を免除する規定が廃止された。
改正前の資料や解説記事を参考にする場合は、これらの変更点を見落とさないようにしましょう。
なお、2026年10月30日時点で、厚生労働省は改正内容に対応した電子申請の受付を準備中と案内しています。改正後の支給要領に基づく申請では、所定の申請書類をダウンロードし、管轄労働局へ持参または郵送で提出するよう案内されています。申請方法についても、最新の公式案内を確認してください。
公式情報: 厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」
3.キャリアアップ助成金|外国人労働者を正社員化する場合
どのような助成金なのか
キャリアアップ助成金の「正社員化コース」は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者を、所定の要件に従って正社員化した事業主を支援する制度です。
外国人労働者であっても、対象となる労働者の要件を満たし、正社員化の条件や申請要件を満たせば、活用できる可能性があります。
たとえば、一定期間の有期雇用を経て働いている外国人材について、本人の能力や適性を踏まえて正社員化を進める場合などが検討場面となります。
ただし、外国人労働者であること自体が助成額の加算要件になるわけではありません。
助成額はいくらか
2026年度の正社員化コースでは、企業規模と対象労働者の区分、正社員化前の雇用形態によって助成額が異なります。
1人当たりの助成額
| 対象労働者の区分 | 企業規模 | 正社員化前が有期雇用 | 正社員化前が無期雇用 |
|---|---|---|---|
| 重点支援対象者 | 中小企業 | 80万円(40万円×2期) | 40万円(20万円×2期) |
| 重点支援対象者 | 大企業 | 60万円(30万円×2期) | 30万円(15万円×2期) |
| 上記以外の対象者 | 中小企業 | 40万円(40万円×1期) | 20万円(20万円×1期) |
| 上記以外の対象者 | 大企業 | 30万円(30万円×1期) | 15万円(15万円×1期) |
※上記は厚生労働省の2026年4月8日版リーフレットに基づく金額です。重点支援対象者は、所定の条件に該当する労働者です。支給対象となる雇用形態の判定や、実際の申請条件は最新の支給要領で確認してください。
重点支援対象者とは
重点支援対象者には、主に次の区分があります。
| 区分 | 主な条件 |
|---|---|
| 1 | 雇入れから3年以上の有期雇用労働者 |
| 2 | 雇入れから3年未満で、過去5年間に正規雇用労働者であった期間が合計1年以下であり、かつ過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない有期雇用労働者 |
| 3 | 派遣労働者 |
| 4 | 母子家庭の母等 |
| 5 | 人材開発支援助成金の所定の訓練修了者 |
これらは厚生労働省の公表資料に基づく主な区分です。対象となる訓練の範囲や各区分の詳細は、支給要領で確認する必要があります。
また、雇用された期間が通算5年を超える有期雇用労働者は、無期雇用労働者とみなされる取扱いがあります。対象者の判定を誤ると、想定していた助成額と実際の支給額が異なる可能性があります。
多様な正社員制度を新たに設ける場合は加算の可能性
正社員化コースには、一定の制度を新たに規定し、対象となる雇用区分への転換等を行った場合の加算措置があります。
| 措置内容 | 中小企業 | 大企業 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 正社員転換制度を新たに規定 | 20万円 | 15万円 | 正社員転換制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換等する |
| 多様な正社員制度を新たに規定 | 40万円 | 30万円 | 勤務地限定・職務限定・短時間正社員のいずれか1つ以上の制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換等する |
| 正規雇用への転換等に関する所定の情報を公表 | 20万円 | 15万円 | 所定の情報を自社ウェブサイトまたは職場情報総合サイト「しょくばらぼ」に公表する |
※上表の加算額は、正社員化コース1事業所当たりの加算額です。所定の要件を満たす必要があり、単に就業規則に制度を記載するだけで支給されるわけではありません。加算措置の併用可否や適用条件についても、申請前に確認してください。
外国人材の雇用においても、勤務地や職務を限定した正社員制度などが、自社の人材戦略に合う場合があります。
ただし、助成金を受け取ることだけを目的に制度を設けるのではなく、採用・定着・育成の仕組みとして機能するかどうかを検討することが重要です。
正社員化コースの主な受給条件
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| キャリアアップ計画 | 正社員転換の前日までに、所定のキャリアアップ計画を作成・提出する |
| 就業規則等 | 正社員転換制度を就業規則等に規定している |
| 正社員転換 | 所定の制度に基づいて対象労働者を正社員化する |
| 賃金 | 正社員転換後6か月間の賃金を、転換前6か月間の賃金より3%以上増額させる |
| 正社員の定義 | 同一事業所の正規雇用労働者に適用される就業規則等が適用され、賞与または退職金制度と昇給が転換時点で適用されているなど、所定の要件を満たす |
※上表は主な要件です。対象労働者の範囲、雇用形態の判定、賃金の算定方法、例外規定などは、最新の支給要領に従って判断してください。
また、キャリアアップ助成金では、正社員化などの取組を行う前に計画を作成・提出することが重要です。すでに正社員化してしまった後に制度を確認しても、要件を満たせない場合があります。
公式情報: 厚生労働省「キャリアアップ助成金」
4.トライアル雇用助成金|外国人なら誰でも対象になるわけではない
どのような助成金なのか
トライアル雇用助成金の「一般トライアルコース」は、職業経験の不足などから就職が困難な求職者を、無期雇用契約への移行を前提として一定期間試行雇用する事業主を支援する制度です。
外国人材の採用に際して検討する余地はありますが、外国人であることだけを理由に対象となる制度ではありません。
求職者本人が所定の対象者要件を満たし、ハローワーク等の紹介によって雇い入れることなどが必要です。
助成額
| 対象者 | 月額助成額 | 支給対象期間 |
|---|---|---|
| 一般の対象労働者 | 月額4万円 | 原則最長3か月 |
| 母子家庭の母等または父子家庭の父 | 月額5万円 | 原則最長3か月 |
※上記は所定の要件を満たす場合の金額です。実際の支給額は、対象期間中の就労状況などによって計算される場合があります。
一般の対象労働者であれば、3か月間の支給対象期間について最大12万円が目安となります。ただし、実際の支給額は支給要件と算定方法に従って判断されます。
対象となる求職者の主な条件
一般トライアルコースでは、次の条件を満たすことが基本となります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 雇用の希望 | 週30時間以上の無期雇用を希望し、トライアル雇用制度を理解したうえで試行雇用を希望している |
| 求職申込み | ハローワークまたは所定の民間職業紹介事業者等に求職申込みをしている |
| 安定した職業に就いていない | 紹介日において、所定の対象外要件に該当しない |
| 就職困難性に関する条件 | 次のいずれかの対象者要件を満たす |
就職困難性に関する主な対象者要件は、次のとおりです。
| 区分 | 主な条件 |
|---|---|
| 離職・転職を繰り返している人 | 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している |
| 長期間離職している人 | 紹介日の前日時点で、離職期間が1年を超えている。パート・アルバイト等を含め、就労していないことが条件 |
| 育児等を理由に離職した人 | 妊娠、出産・育児を理由に離職し、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている |
| 個別支援を受けている人 | 所定の年齢・就職状況等の条件を満たし、ハローワーク等で担当者制による個別支援を受けている |
| 就職に特別な配慮を要する人 | 生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、中国残留邦人等永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定就労者、生活困窮者など |
※上表は主な区分を整理したものです。対象者要件には細かな条件や例外があるため、実際の適用可否は厚生労働省の最新資料で確認してください。
雇入れに関する主な条件
対象者の条件を満たすだけでは、助成金の支給は決まりません。雇入れについても、次の条件を確認する必要があります。
- ハローワーク等の紹介により雇い入れること。
- 原則3か月のトライアル雇用を実施すること。
- 原則として、通常の労働者と同程度の週30時間以上の所定労働時間で雇い入れること。
- 雇用関係助成金に共通する要件などを満たすこと。
対象者の区分によっては、所定労働時間の例外があります。
特に注意したいのは、自社で独自に募集・採用した外国人材について、採用後にトライアル雇用助成金を申請しようとしても、紹介経路などの要件を満たさない可能性があることです。
トライアル雇用を活用する場合は、採用活動を始める段階で、ハローワーク等に対象者要件と求人手続を確認しましょう。
公式情報: 厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」
5.外国人雇用の助成金を活用する際の注意点
3つの制度を検討する際は、助成額だけで判断しないことが重要です。
注意点1:在留資格と就労可能な業務を確認する
外国人材を雇用する場合は、在留資格や在留期間、就労が認められる業務の範囲などを確認する必要があります。
助成金の支給対象となる可能性があることと、外国人本人がその仕事に従事できることは別の問題です。
採用前に、在留カード等の確認や必要な手続を適切に行い、担当する業務と在留資格の関係を確認しましょう。
注意点2:採用前・転換前に制度を確認する
助成金によっては、計画の提出や制度の規定を、取組の開始前に行う必要があります。
特に、キャリアアップ助成金では、正社員転換の前日までにキャリアアップ計画を作成・提出することが求められます。
また、外国人労働者就労環境整備助成コースでは、認定を受けた就労環境整備計画に基づく取組が必要です。
制度を確認せずに取組を開始すると、助成金を利用できなくなる可能性があります。
注意点3:助成額と人材確保の効果を分けて考える
たとえば、外国人労働者就労環境整備助成コースの助成額は20万円、上乗せ措置を実施した場合でも25万円です。
一方、人材の採用や教育には、採用費、教育担当者の人件費、業務マニュアルの作成費用などが発生します。
助成金はこうした取組の負担を軽減する手段の一つですが、人材確保に必要な費用のすべてを補えるとは限りません。
重要なのは、助成金を受け取ることそのものではなく、採用した人材が定着し、事業の継続や生産性の向上につながる仕組みをつくることです。
注意点4:助成金の対象者と外国人労働者全体を混同しない
今回の3制度は、それぞれ対象となる労働者や取組が異なります。
| 制度 | 外国人であれば対象になるか | 主な判断ポイント |
|---|---|---|
| 外国人労働者就労環境整備助成コース | いいえ | 外国人労働者を雇用し、所定の環境整備措置と離職率等の要件を満たすか |
| キャリアアップ助成金(正社員化コース) | いいえ | 対象となる非正規雇用労働者を所定の要件で正社員化するか |
| トライアル雇用助成金(一般トライアルコース) | いいえ | 求職者が対象者要件を満たし、所定の紹介経路・雇入れ条件を満たすか |
外国人労働者の採用を検討している企業は、候補者の状況と採用方針に応じて、どの制度が適用できるかを個別に確認する必要があります。
6.中小企業が今から取り組むべきこと
助成金を有効に活用するためには、採用活動と雇用管理を一体で考えることが重要です。
ステップ1:人手不足による経営への影響を把握する
まずは、人手不足が自社にどのような影響を与えているかを整理します。
- 受注を断っている、または新規案件を受けられない。
- 営業時間やサービス提供時間を短縮している。
- 既存社員の残業や負担が増えている。
- 事業の継続に必要な人員を確保できていない。
- 採用しても定着せず、採用費や教育費が繰り返し発生している。
こうした問題を数値で把握すると、採用や定着にどの程度の投資が必要か判断しやすくなります。
ステップ2:採用・正社員化・定着のどこに課題があるかを特定する
採用できていない企業と、採用しても定着しない企業では、取り組むべきことが異なります。
| 自社の課題 | 検討したい制度・取組 |
|---|---|
| 外国人材を採用した後、職場でのコミュニケーションに課題がある | 外国人労働者就労環境整備助成コース |
| 有期雇用の外国人材を正社員として育成・登用したい | キャリアアップ助成金(正社員化コース) |
| 就職が困難な求職者を試行雇用し、適性を確認したい | トライアル雇用助成金(一般トライアルコース) |
ただし、各制度の対象者要件を満たすことが前提です。
ステップ3:採用前に申請条件と必要書類を確認する
助成金を活用する場合は、採用や制度変更に着手する前に、次の事項を確認しましょう。
- 対象となる労働者の条件を満たすか。
- 企業規模や雇用形態の条件を満たすか。
- 計画の作成・提出が必要か。
- 就業規則等の整備や変更が必要か。
- 労働条件通知書、雇用契約書、賃金台帳、出勤簿などの記録を適切に管理できるか。
- 支給申請の期限と提出先を把握しているか。
実際の必要書類は制度によって異なるため、最新の支給要領や申請様式を確認してください。
ステップ4:採用後の教育と定着を仕組み化する
外国人材の採用は、人員を補充するだけで完結しません。
業務手順、職場のルール、安全管理、相談窓口などを整備し、本人が仕事を理解しながら成長できる環境をつくることが重要です。
たとえば、次のような取組が考えられます。
- 業務マニュアルや安全上の注意事項の多言語化。
- 定期的な面談による業務上の困りごとの把握。
- 教育担当者の選任と育成計画の作成。
- 能力や習熟度に応じた役割・賃金・評価基準の明確化。
- 現場管理者への異文化コミュニケーション研修。
これらは、助成金の要件に該当するかどうかとは別に、人材の定着と組織力の向上につながる取組です。
7.よくある質問
Q1.外国人を雇用していれば、3つの助成金をすべて申請できますか?
いいえ。外国人を雇用しているだけでは、すべての制度の対象にはなりません。
外国人労働者就労環境整備助成コースでは、所定の環境整備措置や離職率等の要件を満たす必要があります。正社員化コースでは、対象となる非正規雇用労働者の正社員化などが必要です。トライアル雇用助成金では、対象となる求職者の要件や紹介経路などを満たす必要があります。
Q2.外国人労働者就労環境整備助成コースは、外国人を1人雇用している企業でも利用できますか?
外国人労働者を雇用していることは主な要件の一つですが、1人雇用しているだけで支給が決まるわけではありません。
就労環境整備計画の認定、必要な措置の実施、離職率に関する条件など、すべての支給要件を確認する必要があります。
Q3.外国人を正社員にすれば、キャリアアップ助成金を受給できますか?
必ず受給できるわけではありません。
対象となる非正規雇用労働者であること、正社員転換制度が適切に規定されていること、計画の提出や賃金増額などの要件を満たすことが必要です。転換前に最新の支給要領を確認してください。
Q4.自社で直接採用した外国人材について、トライアル雇用助成金を申請できますか?
一般トライアルコースでは、ハローワーク等の紹介による雇入れが要件となります。
自社で独自に採用した場合は、この紹介経路の要件を満たさない可能性があります。採用活動を始める前に、ハローワーク等に確認しましょう。
Q5.助成金を活用する際、最初にどこへ相談すればよいですか?
まずは、管轄の都道府県労働局またはハローワークに相談し、対象者要件、計画の提出時期、必要書類、申請期限などを確認しましょう。
特に外国人労働者就労環境整備助成コースは、2026年10月1日付で改正されているため、改正後の資料を使用することが重要です。
8.まとめ|外国人雇用は助成金だけでなく、定着する仕組みづくりが重要
人手不足が続くなか、外国人材の活用は、事業継続や受注機会の確保を考えるうえで重要な選択肢の一つです。
2026年度に確認しておきたい助成金は、次の3つです。
- 外国人労働者の定着を支援する制度: 20万円、上乗せ措置を実施した場合は25万円。
- 非正規雇用労働者の正社員化を支援する制度: 中小企業では、対象者の区分などに応じて1人当たり20万~80万円。
- 就職が困難な求職者の試行雇用を支援する制度: 原則月額4万円、最長3か月。対象者によって月額5万円。
ただし、いずれも対象者や実施内容などの要件を満たす必要があります。
助成金の活用を検討する際は、支給額だけでなく、採用から教育、定着、正社員化までを見据えて、自社に適した制度を選ぶことが重要です。
人手不足を放置すれば、受注機会を失ったり、既存顧客へのサービスを維持できなくなったりする可能性があります。採用と定着の仕組みを整えることは、企業の将来を守るための経営投資でもあります。
まずは自社の人材課題を整理し、助成金の活用可能性と必要な準備を確認することから始めましょう。
出典・参考資料
- 厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/gaikokujin.html - 厚生労働省「キャリアアップ助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html - 厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_16286.html
※制度の詳細や申請様式は、申請前に最新の公式資料で確認してください。
