サービサー(債権回収会社)とは、法務大臣の許可を受けて、金融機関の貸付債権などの「特定金銭債権」を譲り受けたり委託を受けたりして、管理・回収を行う株式会社です。扱えるのは法律で定められた債権に限られ、一般の売掛金は原則として対象外です。威迫などの違法な取立ては法律で禁止されています。
1. はじめに
サービサー(債権回収会社)は、企業や金融機関から譲渡された債権の回収を専門に行う業者です。特に、中小企業や個人事業主にとって、資金繰りの問題や不良債権の処理は重要な経営課題の一つです。本記事では、サービサーの仕組みや役割、メリット・デメリットを詳しく解説します。
この記事の要点
- サービサーは、サービサー法(債権管理回収業に関する特別措置法)にもとづき、法務大臣の許可を受けた株式会社です。
- 扱えるのは、金融機関などの貸付債権、クレジット債権、倒産手続中の会社の債権などの「特定金銭債権」に限られます。
- 許可には、資本金5億円以上、常務に従事する取締役に弁護士がいることなどが必要です。
- 訴訟や保全の手続は原則として弁護士に追行させる必要があり、威迫などの違法な取立ては禁止されています。
- 通知が届いたら、法務省の許可業者一覧(2026年8月3日現在72社)で実在する会社か確認し、必要に応じて弁護士に相談します。
2. サービサー(債権回収会社)とは?
サービサーとは、サービサー法にもとづいて法務大臣の許可を受け、特定金銭債権の管理・回収を業として行う株式会社です。
サービサーとは、法務大臣の許可を受けた「債権回収会社」のことを指します。1998年(平成10年)10月に公布され、1999年2月に施行された「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」によって、弁護士以外の民間会社でも、許可を受ければ債権の管理・回収を業として行うことが認められました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠となる法律 | 債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法) |
| 許可 | 法務大臣の許可(株式会社に限る) |
| 資本金 | 5億円以上 |
| 取締役 | 常務に従事する取締役のうち1人以上が弁護士 |
| 扱える債権 | 特定金銭債権(金融機関等の貸付債権、クレジット債権、倒産手続中の会社の債権など) |
| 許可業者の数 | 72社(法務省、2026年8月3日現在) |
2-1. サービサーの役割
サービサーの主な役割は以下の通りです。
- 金融機関から譲渡された不良債権の回収
- 金融機関などから委託を受けた貸付債権の管理・回収
- 任意交渉や法的措置による債権回収の実施
- 金融機関の不良債権処理を支える(債権の買取り・管理回収の受託)
サービサーは、不良債権を一括購入し、独自の回収手法で債務者から債権を回収する役割を果たします。債権を買い取って自ら回収する「譲受け」のほか、金融機関から委託を受けて回収する「受託」の形もあります。
※補足:サービサーが扱えるのは、サービサー法2条1項が定める「特定金銭債権」に限られます。取引先への一般の売掛金は原則として対象外のため、その回収は弁護士などに相談します。また、売掛金を支払期日前に買い取って資金化するのはファクタリング会社の業務で、サービサーとは別のものです。
3. サービサーの仕組み
サービサーの業務は、債務者との交渉による任意回収、裁判所の手続による法的回収、債権の管理の3つに分かれます。
サービサーの業務は、主に 「任意回収」「法的回収」「債権管理」 の3つに分かれます。
3-1. 任意回収
債務者と交渉し、支払計画の見直しや分割払いの提案を行い、スムーズな回収を目指します。
3-2. 法的回収
裁判所を通じて法的手続きを行い、強制執行や競売などで債権を回収します。
※補足:サービサーが訴訟や民事保全などの手続を行う場合は、原則として弁護士に追行させなければなりません(サービサー法11条2項)。簡易裁判所で扱う一定額以下の事件は例外です。
3-3. 債権管理
長期にわたる債権の管理業務を行い、未回収債権のリスクを軽減します。
| 相談先 | 扱う債権 | 主な役割 |
|---|---|---|
| サービサー | 特定金銭債権(金融機関の貸付債権など) | 延滞債権の譲受け・受託による管理回収 |
| 弁護士 | 制限なし(一般の売掛金も含む) | 交渉、訴訟、強制執行などの代理 |
| ファクタリング会社 | 支払期日前の売掛債権 | 売掛金の買取りによる資金化 |
4. サービサーのメリット・デメリット
サービサーには、金融機関が不良債権を早く整理できるメリットがある一方、費用がかかることや、債務者が心理的な負担を感じやすいことがデメリットです。
4-1. メリット
✅ 金融機関や企業の負担軽減
✅ 不良債権を早期に整理できる
✅ 債務者との交渉をプロが代行
✅ 法的手続きをスムーズに進められる
4-2. デメリット
❌ 債権回収に費用がかかる
❌ 強硬な回収方法をとる場合がある
❌ 債務者にとっては圧力を感じることがある
※補足:サービサー法は、人を威迫したり、私生活や業務の平穏を害する言動で困惑させたりすることを禁止しています(17条)。また、債務者が弁護士に処理を依頼したと通知した後に、正当な理由なく訪問や電話で支払いを求めることも禁止されています(18条)。
5. サービサーが関わる主なケース
サービサーが関わるのは、主に金融機関の延滞債権が譲渡・委託された場合や、金融機関が不良債権を処理する場合です。
サービサーが関わる主なケースは以下の通りです。
- 金融機関から融資を受けたが返済が困難になり、その債権がサービサーに譲渡・委託された(債務者の立場)
- 金融機関が延滞債権や不良債権をまとめて処理したい(債権者の立場)
- 取引先が破産・民事再生などの倒産手続に入り、その会社の債権の管理回収が必要になった
債権回収をスムーズに行いたい場合、サービサーを活用することで経営リスクを減らすことが可能です。ただし、一般の売掛金の回収は原則としてサービサーの対象外のため、弁護士などに相談しましょう。
6. サービサーに依頼する際の注意点
サービサーと関わる際は、法務大臣の許可を受けた会社かどうかを法務省の一覧で確認し、費用や回収の方法を事前に確かめることが大切です。
サービサーを利用する際は、以下の点に注意しましょう。
- 信頼できるサービサーを選ぶ
法務大臣の許可を受けた会社かどうかを、法務省の許可業者一覧で確認 - 回収手数料や費用を事前に確認する
- 強引な回収方法を取らないかチェックする
7. サービサーから通知が届いたら
サービサーから通知が届いたら、まず実在する許可業者かを確認し、債権の内容を確かめたうえで、必要に応じて弁護士に相談します。
- 実在する許可業者か確認する
法務省は、債権回収会社と似た名前をかたった業者による架空の債権の請求に注意するよう呼びかけています。通知に書かれた連絡先ではなく、法務省の一覧などで自分で調べた連絡先に問い合わせます。 - 債権の内容を確認する
元の債権者、金額、債権が譲渡されたのか委託されたのかを確認します。 - 放置しない
実在するサービサーからの通知を放置すると、訴訟や強制執行に進むおそれがあります。 - 減額の交渉ができる場合がある
サービサーは債権を額面より安く買い取っていることが多く、一括弁済を条件に残りの免除に応じる場合があります(ディスカウントペイオフ(DPO))。 - 弁護士に相談する
支払いが難しい場合は、弁護士に相談して対応を決めます。
8. まとめ
サービサーは、法務大臣の許可を受けて特定金銭債権の管理・回収を行う会社で、扱える債権の範囲と、違法な取立てが禁止されていることを理解しておくことが大切です。
サービサー(債権回収会社)は、不良債権の回収や管理を専門に行う企業であり、金融機関などが延滞債権を整理する際に有効な手段となります。
✅ サービサーは金融機関や企業の負担を軽減する役割がある
✅ 任意回収・法的回収・債権管理の3つの業務を担う
✅ 扱えるのは特定金銭債権に限られ、一般の売掛金は原則対象外
✅ 利用する際や通知が届いた際は、法務大臣の許可を受けた会社かを確認することが重要
債権回収に困っている企業や経営者にとって、サービサーの仕組みを理解しておくことは有効な備えの一つです。
※本記事は一般的な解説です。個別の債権の回収や返済の対応は、弁護士などの専門家にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
サービサー(債権回収会社)について、よく寄せられる質問に結論から回答します。
Q. サービサー(債権回収会社)とは何ですか?
法務大臣の許可を受けて、金融機関の貸付債権などの特定金銭債権を譲り受けたり委託を受けたりして、管理・回収を行う株式会社です。根拠となる法律はサービサー法(債権管理回収業に関する特別措置法)です。
Q. 取引先の売掛金の回収をサービサーに頼めますか?
原則として頼めません。サービサーが扱えるのは法律で定められた特定金銭債権に限られるためです。一般の売掛金の回収は弁護士などに相談します。
Q. サービサーは厳しい取立てをしてもよいのですか?
いいえ、してはいけません。サービサー法は、人を威迫したり、私生活や業務の平穏を害する言動で困惑させたりすることを禁止しています。
Q. サービサーからの通知が本物か確かめる方法は?
法務省が公表している「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧」で会社名を確認し、自分で調べた連絡先に問い合わせます。似た名前の業者による架空請求に注意が必要です。
Q. サービサーに債権が移ると返済額は減りますか?
必ず減るわけではありませんが、一括弁済を条件に残りの免除に応じる場合があります。条件は個別の交渉になるため、弁護士への相談をおすすめします。
出典・参考
本記事の主な出典と、2026年10月30日の更新時に確認した資料は次のとおりです。
- 法務省「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧」
https://www.moj.go.jp/housei/servicer/kanbou_housei_chousa15.html - e-Gov法令検索「債権管理回収業に関する特別措置法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC1000000126
