2025年、日本の企業倒産は再び増加傾向にあります。
東京商工リサーチの調査によると、2025年の企業倒産は1万300件となり、2年連続で1万件を超えました。
さらに注目すべきは、企業数に対する倒産割合を示す「倒産発生率」です。
2025年の全国平均は0.199%でしたが、地域によって大きな差があり、
最も高かった京都府は0.36%と、全国平均の約1.9倍となりました。
また同時に発表されたデータでは、
倒産企業の平均寿命は23.5年となり、前年よりも延びています。
一見すると企業寿命が長くなっているように見えますが、実際には
老舗企業の倒産が増えているという現実が浮かび上がります。
つまり現在の倒産は
- 創業間もない企業の失敗
- 長年続いた企業の衰退
という二つのパターンが同時に増えている状況です。
本記事では、東京商工リサーチのデータをもとに
- 倒産発生率の地域格差
- 倒産企業の平均寿命
- 業種別の倒産リスク
- 中小企業が取るべき経営戦略
についてわかりやすく解説します。
この記事の要点
- 東京商工リサーチによると、2025年の全国企業倒産は1万300件(前年比2.9%増)で、2年連続で1万件を超えました。
- 2025年の倒産発生率は全国平均0.199%で、都道府県別のワーストは京都府の0.36%、地区別では近畿が0.31%で最も高くなりました。
- 業種別では繊維・衣服等卸売業(0.84%)が最も高く、不動産賃貸業・管理業(0.03%)や医療業(0.07%)は低水準です。
- 2025年に倒産した企業の平均寿命は23.5年で、業歴30年以上の老舗企業の倒産が2,899件に増えたことが平均を押し上げています。
- 中小企業が生き残るには、資金繰りの管理、原価上昇に対応した価格戦略、人が辞めない組織づくりの3つが重要です。
【追記】公開後の主な動き(2026年10月27日時点)
本記事の公開後、2026年上半期の全国企業倒産は5,346件と12年ぶりに5,000件を超え、2025年度の倒産発生率(普通法人)も10年で最悪の0.284%となりました。
| 公表日 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 2026年4月24日 | 2025年度(4月〜翌3月)の倒産発生率(普通法人)は0.284%で、10年間で最悪。都道府県別のワーストは徳島県の0.445% | 東京商工リサーチ |
| 2026年7月8日 | 2026年上半期(1〜6月)の全国企業倒産は5,346件(前年同期比7.1%増)。上半期の5,000件超えは2014年以来12年ぶり。物価高倒産は439件、人手不足倒産は237件 | 東京商工リサーチ |
2025年度の倒産発生率(0.284%)は、普通法人の倒産件数を内国普通法人数で割った数値で、本記事の暦年の倒産発生率(0.199%)とは集計の対象や期間が異なるため、単純には比較できません(東京商工リサーチ 2026年4月24日)。
2025年の企業倒産は1万件超え、増加傾向が続く
2025年の全国企業倒産は1万300件(前年比2.9%増)で2年連続の1万件超えとなり、2013年以来の高い水準です。物価高や人手不足、金利上昇などが背景にあります。
東京商工リサーチの調査によると、2025年の全国企業倒産は1万300件となりました。
前年から2.9%増加し、2024年に続いて2年連続で1万件を超えています。
倒産件数が1万件を超えるのは2013年以来の高い水準であり、日本企業を取り巻く環境が厳しくなっていることを示しています。
※2013年の倒産件数は1万855件でした。2025年は「物価高」倒産が767件(前年702件)、「人手不足」関連倒産が過去最多の397件(前年292件)でした(東京商工リサーチ 2026年1月13日)。
主な背景としては次の要因が挙げられます。
- 円安による物価上昇
- 人件費の上昇
- 人手不足
- 金利上昇
- コロナ支援策の終了
これまで政府の資金繰り支援などによって抑えられていた倒産が、支援縮小とともに顕在化してきていると考えられます。
倒産発生率ワーストは京都府、近畿圏の高さが際立つ
2025年の倒産発生率は全国平均0.199%で、約500社に1社が倒産した計算です。都道府県別のワーストは京都府の0.36%で、近畿2府4県がすべてワースト10に入りました。
2025年の倒産発生率は0.199%でした。
倒産発生率とは、企業数に対してどの程度倒産が起きたかを示す指標です。
つまり単純に言えば
約500社に1社が倒産している
計算になります。
都道府県別のワーストは以下の通りです。
1位 京都府 0.36%
2位 大阪府 0.32%
3位 兵庫県 0.31%
4位 東京都 0.28%
5位 奈良県 0.27%
| 順位 | 都道府県 | 倒産発生率 |
|---|---|---|
| 1位 | 京都府 | 0.36% |
| 2位 | 大阪府 | 0.32% |
| 3位 | 兵庫県 | 0.31% |
| 4位 | 東京都 | 0.28% |
| 5位 | 奈良県 | 0.27% |
| (参考)全国平均 | ― | 0.199% |
| (参考)最も低い | 高知県 | 0.084% |
特に目立つのは、近畿圏の高さです。
近畿2府4県がすべてワースト10位以内に入り、地域的な特徴が明確に現れました。
倒産発生率は地域で2.4倍の格差
地区別の倒産発生率は近畿が0.31%で最も高く、最も低い北海道の0.126%と比べて約2.4倍の差があります。近畿は3年連続でワーストです。
地区別の倒産発生率を見ると、地域差はさらに明確になります。
最も高いのは
近畿 0.31%
一方、最も低いのは
北海道 0.126%
でした。
つまり、同じ日本でも
倒産リスクは約2.4倍の差
があることになります。
※近畿は3年連続で地区別のワーストでした(東京商工リサーチ 2026年2月26日)。
都市部では
- 物価上昇
- 家賃や固定費
- 人件費
が高く、特に小売業やサービス業などの中小企業に大きな影響が出ていると考えられます。
倒産リスクが高い業種と低い業種
倒産発生率が最も高い業種は繊維・衣服等卸売業の0.84%で、広告業や情報サービス業も高水準です。一方、不動産賃貸業・管理業や医療業は低水準です。
業種別に見ると、倒産発生率が高い業種も明確です。
最も高かったのは
繊維・衣服卸売業(0.84%)
続いて
映像・音声・文字情報制作業(0.74%)
広告業(0.635%)
情報サービス業(0.634%)
職別工事業(0.54%)
となりました。
| 区分 | 業種 | 倒産発生率 |
|---|---|---|
| 高い | 繊維・衣服等卸売業 | 0.84% |
| 高い | 映像・音声・文字情報制作業 | 0.74% |
| 高い | 広告業 | 0.635% |
| 高い | 情報サービス業 | 0.634% |
| 高い | 職別工事業 | 0.54% |
| 低い | 医療業 | 0.07% |
| 低い | 不動産賃貸業・管理業 | 0.03% |
倒産発生率が高い業種には共通点があります。
- 価格競争が激しい
- 景気の影響を受けやすい
- 人材依存が強い
- 技術変化が速い
一方、倒産発生率が低い業種もあります。
不動産賃貸業・管理業(0.03%)
医療業(0.07%)
などです。
不動産賃貸業・管理業や医療業は、比較的安定した需要がある業種と言えるでしょう。
倒産企業の平均寿命は23.5年
2025年に倒産した企業の平均寿命は23.5年で、前年より0.3年延び2年連続で上昇しました。ただし経営の安定ではなく、老舗企業の倒産増加が平均を押し上げています。
東京商工リサーチの調査では、2025年に倒産した企業の平均寿命は
23.5年
でした。
前年より0.3年延び、2年連続で上昇しています。
しかし平均寿命が延びたことは、企業経営が安定しているという意味ではありません。
実際には
老舗企業の倒産が増えている
ことが平均寿命を押し上げているのです。
| 項目(2025年) | 数値 |
|---|---|
| 倒産企業の平均寿命 | 23.5年(前年23.2年) |
| 業歴30年以上(老舗)の倒産 | 2,899件(前年比2.1%増、構成比32.2%) |
| 業歴10年未満(新興)の構成比 | 29.2%(前年30.7%) |
| 平均寿命が最も長い業種 | 製造業 36.9年 |
| 平均寿命が最も短い業種 | 情報通信業 17.2年 |
老舗企業の倒産が増えている理由
業歴30年以上の老舗企業の倒産は2,899件に増えました。経営者の高齢化や事業承継の遅れ、ビジネスモデル転換の遅れ、過去の成功体験への固執が主な原因です。
業歴30年以上の企業倒産は
2,899件
に増えました。
主な原因は次の通りです。
- 経営者の高齢化
- 事業承継の遅れ
- 設備投資の遅れ
- ビジネスモデルの変化
特に問題なのは
過去の成功体験に固執すること
です。
市場環境が変化しているにもかかわらず、従来の経営を続けてしまう企業は少なくありません。
新興企業が早期に倒産する理由
業歴10年未満の新興企業の倒産は全体の約3割を占めます。資金・経験・人材の不足が主な理由で、特に売上が伸びても資金繰りが追いつかず倒産するケースが目立ちます。
一方、創業10年未満の企業も多く倒産しています。
※2025年の倒産のうち、業歴10年未満の新興企業の構成比は29.2%でした(東京商工リサーチ 2026年2月28日)。
理由は主に次の3つです。
- 資金不足
- 経験不足
- 人材不足
特にスタートアップでは
資金繰りの管理不足
が大きな原因になります。
売上が伸びてもキャッシュが足りず倒産するケースは非常に多いのです。
データから見える中小企業経営の本質
倒産データから見える中小企業経営の本質は、コスト増・人手不足・市場変化の3つへの対応力、つまり環境変化への適応力が企業の寿命を決めるということです。
今回のデータから見えるのは、企業の倒産には共通する構造があるということです。
その核心は次の3点です。
①コスト増への対応
②人手不足への対応
③市場変化への対応
つまり
環境変化への適応力
が企業寿命を決めていると言えます。
中小企業が生き残るための3つの戦略
中小企業が生き残るための戦略は、資金繰りを最優先すること、価格戦略を見直すこと、人が辞めない組織づくりを強化することの3つです。
中小企業が生き残るために重要なポイントは次の3つです。
| 戦略 | 具体的な取り組み |
|---|---|
| ① 資金繰りを最優先する | 資金繰り表を作り、最低でも半年先までの資金状況を把握する |
| ② 価格戦略を見直す | 値上げ、付加価値化、サブスク化で原価上昇を吸収する |
| ③ 組織づくりを強化する | 評価制度・教育制度・働き方を整備し、定着率を高める |
①資金繰りを最優先する
利益よりもまずキャッシュフローを重視し、資金繰り表で最低でも半年先までの資金状況を把握しておくことが、倒産を防ぐための第一歩です。
利益よりもまず
キャッシュフロー
を重視する必要があります。
資金繰り表を作り、最低でも半年先までの資金状況を把握しておくことが重要です。
②価格戦略を見直す
原価上昇を吸収できない企業は苦しくなります。値上げや付加価値化、サブスク化などで、コスト増を価格に反映できる仕組みをつくることが必要です。
原価上昇を吸収できない企業は苦しくなります。
原価上昇を吸収するため
- 値上げ
- 付加価値化
- サブスク化
などの価格戦略を検討する必要があります。
③組織づくりを強化する
人手不足の時代には人が辞めない会社をつくることが重要です。評価制度や教育制度、働き方を整備し、社員の定着率を高めることが企業の安定につながります。
人手不足の時代では
人が辞めない会社
を作ることが重要です。
- 評価制度
- 教育制度
- 働き方
などを整備し、定着率を高めることが企業の安定につながります。
■まとめ
倒産企業の平均寿命23.5年という数字は、企業の寿命が決して長くないことを示しています。資金繰り・価格戦略・組織づくりという経営の基本を徹底することが重要です。
2025年の企業倒産データから見えてきたのは、
企業の寿命は決して長くない
という現実です。
平均寿命23.5年という数字は、
「30年続けば安泰」という時代が終わったことを示しています。
企業が生き残るためには
- 資金繰り
- 価格戦略
- 組織づくり
という基本を徹底することが重要です。
■行動のご提案
中小企業の経営者は、6か月先までの資金繰り表、原価上昇に対応した価格戦略、社員が辞めない仕組みの3つがあるかを、今すぐ確認してみてください。
もしあなたが中小企業の経営者であれば、
次の3つをすぐ確認してみてください。
- 6か月先までの資金繰り表はあるか
- 原価上昇に対応した価格戦略があるか
- 社員が辞めない仕組みはあるか
資金繰り表・価格戦略・社員が辞めない仕組みの3つを見直すだけでも、企業の生存確率は大きく変わります。
よくある質問(FAQ)
倒産発生率と倒産企業の平均寿命について、よく寄せられる質問に結論から回答します。
Q. 2025年の企業倒産は何件ですか?
東京商工リサーチによると、2025年の全国企業倒産は1万300件(前年比2.9%増)で、2年連続で1万件を超えました。2013年(1万855件)以来の水準です。
Q. 2025年の倒産発生率が最も高い都道府県はどこですか?
京都府の0.36%で、全国平均0.199%の約1.9倍でした。2位は大阪府(0.32%)、3位は兵庫県(0.31%)で、近畿2府4県がすべてワースト10に入りました。
Q. 倒産発生率が高い業種はどこですか?
最も高いのは繊維・衣服等卸売業の0.84%で、映像・音声・文字情報制作業(0.74%)、広告業(0.635%)、情報サービス業(0.634%)が続きます。
Q. 倒産企業の平均寿命は何年ですか?
2025年に倒産した企業の平均寿命は23.5年で、前年より0.3年延びました。業歴30年以上の老舗企業の倒産が2,899件に増えたことが平均を押し上げています。
Q. 中小企業が倒産を防ぐために何をすべきですか?
資金繰り表で半年先までの資金状況を把握すること、値上げや付加価値化で原価上昇に対応すること、評価制度や教育制度を整えて社員の定着率を高めることが重要です。
出典・参考
本記事の主な出典と、2026年10月27日の更新時に確認した資料は次のとおりです。
- 東京商工リサーチ「2025年(令和7年)の全国企業倒産1万300件」(2026年1月13日)
https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1202288_1610.html - 東京商工リサーチ「「倒産発生率」ワーストは京都府 近畿2府4県がワースト10位内、地域の格差拡大」(2026年2月26日)
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202544_1527.html - 東京商工リサーチ「倒産企業の「平均寿命」 23.5年に延びる 新興企業は沖縄が40%台で突出」(2026年2月28日)
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202542_1527.html - 東京商工リサーチ「2025年度の『倒産発生率』 10年間で最悪の0.284%」(2026年4月24日)
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202775_1527.html - 東京商工リサーチ「2026年上半期(1-6月)の全国企業倒産5,346件」(2026年7月8日)
https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1203029_1610.html
