【2026年最新版】後見制度支援預金・後見制度支援信託を完全解説

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後見制度支援預金(支援預貯金)と後見制度支援信託は、成年後見制度を使う本人の金銭のうち、日常の支払いに使わない分を金融機関に預け、家庭裁判所の「指示書」がなければ払戻しや解約ができないようにする仕組みです。親族後見人による使い込みなどを防ぐ管理の制度で、相続対策や事業承継の手段ではありません。

──経営者が「親の資産管理」「将来の認知症リスク」で知っておくべき制度

高齢化が進む中、経営者の相談テーマとして急増しているのが、次のような悩みです。

  • 親が高齢になってきた
  • 認知症になったら預金はどうなるのか
  • 後見制度は不安が多い
  • お金を勝手に使われない仕組みがほしい

といった 「判断能力低下後の資産管理」 の問題です。

この領域で近年、実務上の選択肢として定着してきたのが、次の2つです。

✔ 後見制度支援預金

✔ 後見制度支援信託

です。

この記事では、
2026年時点の最新運用を前提に、次の点を解説します。

  • 両制度の仕組みと違い
  • 成年後見制度との関係
  • 経営者が検討すべきケース
  • 家族信託との使い分け

を、経営者目線でわかりやすく解説します。

この記事の要点

  • 後見制度支援信託・支援預貯金は、本人の金銭のうち日常の支払いに使わない分を金融機関に預け、払戻しや解約に家庭裁判所の指示書を必要とする仕組みです。
  • 支援信託は2012年2月に導入され、成年後見・未成年後見で利用できます。保佐・補助・任意後見では利用できません。
  • 支援預貯金は信託を補う仕組みで、成年後見・未成年後見に加え、一部の金融機関では2025年10月から保佐・補助でも利用できます。任意後見では利用できません。
  • 2025年の新規利用者は支援信託615人、支援預貯金2,005人で、累計の財産額は約1兆4,874億円にのぼります。
  • 柔軟な運用や相続対策・事業承継には向かないため、判断能力があるうちの家族信託や遺言と使い分けることが大切です。

■ 1. まず前提|成年後見制度の「実務上の課題」

成年後見制度では、後見人が本人の預金を引き出せるため、親族後見人による使い込みなどが課題となり、その対策として支援信託・支援預貯金が導入されました。

後見制度は本来、
判断能力が低下した人を守る制度ですが、
実務では次のような課題が指摘されてきました。

❌ 後見人が自由に預金を引き出せてしまう

❌ 親族後見人による不正・使い込み

❌ 家庭裁判所の管理負担が大きい

❌ 定期的な報告が煩雑

これらの問題を背景に導入されたのが、
後見制度支援預金・支援信託です。


■ 2. 後見制度支援預金とは?

後見制度支援預金(支援預貯金)は、銀行・信用金庫・信用組合などの預貯金口座に本人の金銭を移し、払戻しや解約に家庭裁判所の指示書を必要とする仕組みです。

● 制度の概要

後見制度支援預金とは、次のような仕組みの預金制度です。

✔ 成年後見制度を利用している本人の預金を

✔ 家庭裁判所の関与のもと

✔ 原則「引き出せない形」で管理する預金制度

です。

● 仕組み(お金の流れ)

  • 成年後見人が選任される
  • 家庭裁判所の指示により
  • 本人の預金の一部(日常の支払いに使わない金銭)を「支援預金口座」に移す
  • 引き出しには家庭裁判所が発行する「指示書」が必要

※補足:本人の支出が収入を上回る場合は、必要な額を後見人の口座へ定期的に送金する設定もできます。解約や定期送金額の変更にも、家庭裁判所への報告と指示書が必要です(大津家庭裁判所)。

● 何が防げるのか?

  • 親族後見人による使い込み
  • 不適切な資金流出
  • 高額な不正出金

■ 3. 後見制度支援信託とは?

後見制度支援信託は、本人の金銭のうち通常使わない分を信託銀行等に信託し、必要な資金を定期的に受け取りながら、払戻しや解約は家庭裁判所の指示書で行う仕組みです。

● 制度の概要

後見制度支援信託とは、次のような仕組みです。

✔ 本人の財産(金銭)を

✔ 信託銀行等に信託し

✔ 家庭裁判所の監督下で

✔ 定期的に必要資金のみが支払われる仕組み

です。

● 支援預金との違い(結論)

✔ 支援預金=銀行・信用金庫などの預貯金で管理

✔ 支援信託=信託銀行等への信託で管理

という違いがあります。


■ 4. 支援預金と支援信託の比較(2026年版)

支援預金と支援信託は、どちらも金銭を対象に家庭裁判所の指示書がなければ払戻しできない点は共通で、主な違いは預け先と利用できる後見の種類です。

項目後見制度支援預金(支援預貯金)後見制度支援信託
管理方法預貯金口座信託
管理主体銀行・信用金庫・信用組合など信託銀行等
引き出し家庭裁判所の指示書が必要(定期送金の設定も可)家庭裁判所の指示書が必要(定期交付あり)
コスト専門職後見人が関与する場合の報酬(家庭裁判所が決定)と、金融機関の手数料(金融機関ごとに異なる)同左
管理の仕組みどちらも指示書がなければ払戻し・解約できない同左
対象財産金銭金銭
利用できる後見の種類成年後見・未成年後見(一部の金融機関は2025年10月から保佐・補助も)成年後見・未成年後見のみ
導入時期2018年ごろから2012年2月
後見制度支援預金と支援信託の比較(最高裁判所・家庭裁判所の資料をもとに作成)

■ 5. 経営者がこの制度を知るべき理由

経営者にとってこの制度は、自身の問題というより、親の資産管理や兄弟間のトラブル防止に直結する制度として知っておく必要があります。

経営者自身の問題というより、次の理由によるものです。

✔ 「親の資産管理問題」に直結する

からです。

よくある経営者の悩み

  • 親の預金が多額
  • 兄弟が多い
  • 親族後見人に不安
  • 将来のトラブルを防ぎたい

このようなケースでは、
後見制度支援預金・信託が現実的な選択肢になります。

※補足:最高裁判所の資料によると、2025年(1〜12月)の新規利用者は、支援信託が615人(財産額の平均約4,614万円)、支援預貯金が2,005人(同約2,921万円)でした。累計の利用者は支援信託31,234人、支援預貯金13,511人(2018年1月以降)です(最高裁判所)。


■ 6. どんなケースで使われるのか?

支援預金・支援信託は、親族後見人の使い込み防止、施設費用の長期管理、相続人間の不信感がある場合などに使われます。

✔ ケース①:親族後見人の使い込み防止

→ 客観的管理が可能

✔ ケース②:高齢者施設費用の長期管理

→ 毎月の支出をコントロール

✔ ケース③:相続人間の不信感が強い

→ 裁判所関与で納得感を確保

✔ ケース④:後見制度は必要だが不安がある

→ 「歯止め」として活用


■ 7. 経営者が注意すべきデメリット

支援預金・支援信託は、投資や事業への活用など柔軟な運用ができず、家庭裁判所の手続きが必要で、相続対策にもならない点に注意が必要です。

❌ デメリット①:柔軟な運用はできない

  • 投資
  • 不動産購入
  • 事業資金活用

は原則不可。

❌ デメリット②:手続きが煩雑

  • 家庭裁判所の関与が必須
  • スピード感はない

❌ デメリット③:相続対策にはならない

❗ あくまで「管理制度」であり

❗ 節税・承継の制度ではない


■ 8. 家族信託との違い(経営者は必ず比較)

家族信託は判断能力があるうちに家族と契約して柔軟に管理できる制度で、判断能力が低下した後に家庭裁判所の関与で使う支援預金・支援信託とは役割が異なります。

項目支援預金・信託家族信託
開始時期判断能力低下後判断能力があるうち
管理主体裁判所+金融機関家族
柔軟性低い高い
投資不可条件次第で可
事業承継不可可
相続対策不可可

👉 経営者の資産設計では家族信託が主役
👉 支援制度は「最後のセーフティネット」


■ 9. 実務上の重要ポイント(2026年)

支援信託・支援預金は後見が始まった後に家庭裁判所の判断で導入され、利用できる後見の種類が決まっており、解約や変更にも指示書が必要です。

  • 後見制度開始後でないと使えない
  • 支援信託は成年後見・未成年後見のみ(保佐・補助・任意後見は不可)
  • 支援預貯金は成年後見・未成年後見に加え、一部の金融機関で2025年10月から保佐・補助も利用可能(任意後見は不可)
  • 家庭裁判所の判断で導入される
  • 本人・家族の意向だけでは決められない
  • 途中解約・変更は容易ではない(家庭裁判所への報告と指示書が必要)

■ 10. 経営者向け結論|使う場面は明確に限られる

支援預金・支援信託は、判断能力が低下した後の不正防止と公平な管理のための制度で、生前対策や事業承継、相続税対策には向いていません。

後見制度支援預金・信託は、次のような制度です。

✔ 認知症「発症後」の資産凍結リスク対策

✔ 不正防止・公平性確保の制度

です。

一方で、次の目的には向いていません。

  • 生前対策
  • 事業承継
  • 相続税対策

には 向いていません。


■ 11. まとめ|「守る制度」と「攻める制度」を混同しない

支援預金・支援信託は判断能力低下後の「守る制度」であり、経営者は判断能力があるうちに家族信託や遺言などの「攻める制度」を優先して検討すべきです。

最後に要点を整理します。

✔ 後見制度支援預金・信託は資産管理制度

✔ 成年後見制度とセットで使われる

✔ 裁判所の指示書で不正を防止

✔ 柔軟性はほぼない

✔ 経営者の相続対策とは役割が違う

✔ 家族信託との使い分けが重要

経営者として重要なのは、次の2点です。

✔ 判断能力がある「今」何をしておくか

✔ なくなった「後」に何が残るか

後見制度支援預金・信託は、
最終局面の安全装置として理解し、
それ以前の段階での対策(家族信託・遺言)を
優先的に検討すべきです。

※本記事は一般的な解説です。制度の利用や手続きの詳細は、家庭裁判所や取扱金融機関、弁護士・司法書士などの専門家にご確認ください。


よくある質問(FAQ)

後見制度支援預金・後見制度支援信託について、よく寄せられる質問に結論から回答します。

Q. 後見制度支援預金とは何ですか?

成年後見制度などを利用している本人の金銭のうち、日常の支払いに使わない分を預貯金口座に移し、払戻しや解約に家庭裁判所の指示書を必要とする仕組みです。

Q. 後見制度支援信託と支援預金の違いは?

支援信託は信託銀行等に金銭を信託し、支援預金は銀行・信用金庫などの預貯金口座で管理します。どちらも払戻しには家庭裁判所の指示書が必要で、支援信託は成年後見・未成年後見のみが対象です。

Q. 保佐や補助、任意後見でも使えますか?

支援信託は成年後見・未成年後見のみで、保佐・補助・任意後見では使えません。支援預貯金は、一部の金融機関で2025年10月から保佐・補助でも利用できますが、任意後見では使えません。

Q. 支援預金からお金を引き出すにはどうすればよいですか?

後見人が家庭裁判所に報告し、家庭裁判所が発行する指示書を金融機関に提出して払戻しを受けます。支出が収入を上回る場合は、定期的に後見人の口座へ送金する設定もできます。

Q. 支援信託や支援預金は相続対策になりますか?

なりません。判断能力が低下した後の不正防止と管理のための制度です。相続対策や事業承継は、判断能力があるうちに家族信託や遺言で検討します。

出典・参考

本記事の主な出典と、2026年10月30日の更新時に確認した資料は次のとおりです。

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