【2026年最新版】定年退職後の失業給付(基本手当)を徹底解説

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定年退職した人も、働く意思と能力があり、ハローワークで求職の申込みをすれば失業給付を受けられます。65歳未満は基本手当(最長150日)、65歳以上は高年齢求職者給付金(30日分または50日分の一時金)で、定年退職には給付制限がなく、申し出れば受給期間を最長1年延長できます。

──定年後も働く時代。経営者・役員・従業員が知るべき“雇用保険の出口戦略”

定年退職後に再就職・再雇用・アルバイト・独立など、
働き方が多様化しています。

その中で「失業給付(雇用保険の基本手当)」は、
定年を迎えた人でも受給できる制度 であり、
老後資金・キャリア再構築に大きく貢献する重要な仕組みです。

しかし、次のような疑問を持つ人は少なくありません。

  • 「定年退職でも失業扱いになるの?」
  • 「基本手当はいくらもらえる?」
  • 「役員でももらえるの?」
  • 「再就職手当も対象?」
  • 「受給期間の延長はできる?」

など、誤解されている点が非常に多い制度でもあります。

本記事では、2026年10月時点のルールを前提に、次の点を分かりやすく解説します。


✔ 定年退職者でも失業給付を受けられる理由

✔ 基本手当の受給額・日数

✔ 受給条件

✔ 65歳未満・65歳以上でどう変わる?

✔ 経営者・役員は受給できるのか

✔ 再雇用した場合の扱い

✔ 受給手続きの流れ

✔ 実務での注意点


この記事の要点

  • 定年退職でも、働く意思と能力があり、ハローワークで求職の申込みをすれば失業給付の対象になります。
  • 65歳未満は基本手当で、定年退職の所定給付日数は雇用保険の加入期間に応じて90日・120日・150日です。
  • 定年退職には給付制限がなく、7日間の待期の後から支給対象になります(自己都合退職は原則1か月の給付制限)。
  • 60歳以上の定年退職者は、離職日の翌日から2か月以内に申し出れば、受給期間を最長1年延長できます。
  • 65歳以上は高年齢求職者給付金で、加入期間1年未満は30日分、1年以上は50日分が一時金で支給されます。
項目65歳未満で離職65歳以上で離職
給付の種類基本手当高年齢求職者給付金(一時金)
給付日数加入期間に応じて90日・120日・150日(定年退職の場合)加入期間1年未満:30日分/1年以上:50日分
支給方法4週間ごとの失業認定で分割して支給1回の失業認定でまとめて支給
再就職手当条件を満たせば対象対象外
65歳未満と65歳以上の失業給付の違い(ハローワーク・労働局の案内をもとに作成)

■ 1. 定年退職後でも「失業給付の対象」となる理由

失業給付は働く意思と能力があるのに職に就けない状態に支給されるため、定年で退職した人も、再就職を希望して求職の申込みをすれば対象になります。

失業給付(基本手当)は、
“働く意思と能力があるのに働いていない状態”
に支給される給付です。

つまり、定年で退職した場合でも、次の3つを満たせば対象になります。


✔ 本人が再就職を希望し、働く意思がある

✔ 現実に雇用されていない

✔ ハローワークで求職の申込みをする


これらを満たせば「失業の状態」とみなされるため、
定年退職でも支給の対象になります。


■ 2. 基本手当(失業給付)が受けられる条件

基本手当を受けるには、離職前2年間に雇用保険の被保険者期間が12か月以上あり、働く意思と能力があって、ハローワークで求職の申込みをすることが必要です。

◆(1)雇用保険に加入していた期間

退職前の 2年間に12カ月以上(一般被保険者の場合)
雇用保険に加入していたことが必要です。

※倒産・解雇など特定受給資格者は1年間に6カ月以上。

定年退職は、給付日数は自己都合退職と同じ「一般の離職者」の区分ですが、給付制限はない点が自己都合退職と異なります。
受給に必要な期間は通常と同じ 12カ月以上 です。

項目定年退職自己都合退職
必要な被保険者期間離職前2年間に12か月以上離職前2年間に12か月以上
所定給付日数一般の離職者の日数(90〜150日)一般の離職者の日数(90〜150日)
給付制限なし原則1か月(2025年4月以降)
受給期間の延長60歳以上の定年退職者は最長1年延長できる病気・出産などの場合に延長できる
定年退職と自己都合退職の違い(神奈川県の資料などをもとに作成)

◆(2)再就職する意思と能力がある

次のような場合は受給できません。

  • 働きたくない
  • 完全リタイア希望

このような場合は「失業の状態」に当たらないためです。


◆(3)ハローワークで求職申し込みが必要

申し込みをしてはじめて、
受給資格の確認 → 7日間の待期 → 給付
という流れがスタートします。


■ 3. 65歳未満と65歳以上で制度が大きく変わる

離職時に65歳未満なら基本手当、65歳以上なら高年齢求職者給付金という一時金になり、給付の日数と受け取り方が大きく変わります。

失業給付の制度は、
65歳を境に内容が大きく変わります。


◆ 65歳未満:

→「基本手当(いわゆる失業手当)」を受給
→ 給付日数は最大330日(会社都合の特定受給資格者の場合。定年退職の場合は最長150日)


◆ 65歳以上:

→「高年齢求職者給付金(1回の一時金)」を受給
→ 支給額は基本手当日額 × 30日 or 50日


つまり:65歳以降は“日数制”ではなく“一時金”に変わる

多くの経営者がこの制度変更を誤解しており、
「65歳過ぎても失業手当が長期間出る」と思っている人が少なくありません。


■ 4. 基本手当の支給額の計算方法(65歳未満)

基本手当日額は、離職前6か月の賃金から計算した賃金日額の45〜80%(離職時60〜64歳の場合)で、年齢区分ごとに上限額があります。

基本手当は、退職前の給与をもとに計算されます。


◆ 基本手当日額の計算式

過去6カ月の給与(賞与除く)を平均した 賃金日額 の
45%〜80%。

※賃金日額は、離職前6か月の賃金(賞与を除く)の合計を180で割って計算します。給付率は、離職時60〜64歳の場合45〜80%、60歳未満の場合50〜80%です。

賃金が低い人ほど給付割合が高くなります。


◆ 2026年時点の支給上限

基本手当日額の上限は、毎年8月1日に改定されます。
2026年8月1日からの上限は次のとおりです。

  • 60〜64歳:7,830円(2025年8月〜2026年7月は7,623円)

※補足:2026年8月1日からの基本手当日額の上限は、45〜59歳9,110円、30〜44歳8,270円、30歳未満7,450円、下限は2,562円です(厚生労働省)。


◆ 受給総額のイメージ

たとえば賃金日額1万円の場合:

  • 基本手当日額:4,500〜8,000円程度
  • 90日受給なら支給総額:約40〜70万円
  • 150日受給なら支給総額:約70〜120万円

給与水準によって変動します。


■ 5. 基本手当の所定給付日数(定年退職の場合)

定年退職の所定給付日数は、雇用保険の加入期間が10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日です。

定年退職は、給付日数については自己都合退職と同じ「一般の離職者」の区分となり、
次の表が適用されます。

雇用保険加入年数給付日数
1年以上〜10年未満90日
10年以上〜20年未満120日
20年以上150日

◆ 例:勤続30年の会社員が60歳で定年退職した場合

→ 150日分の基本手当を受給可能
(最大5カ月分)


◆ 受給期間の延長(60歳以上の定年退職者)

基本手当を受けられる期間(受給期間)は原則として離職日の翌日から1年間ですが、60歳以上で定年退職した人がしばらく休養したい場合は、離職日の翌日から2か月以内に申し出ることで、受給期間を最長1年延長できます(神奈川県)。


■ 6. 65歳以上の「高年齢求職者給付金」

65歳以上で離職した場合は高年齢求職者給付金が一時金で支給され、雇用保険の加入期間が1年未満なら基本手当日額の30日分、1年以上なら50日分です。

65歳以降に離職した場合、
基本手当ではなく“高年齢求職者給付金”が支給されます。


◆ 支給額

基本手当日額 × 支給日数(30日 or 50日)


◆ 支給日数の決まり方(65歳以上)

雇用保険加入期間支給日数
1年未満30日分
1年以上50日分
高年齢求職者給付金の支給日数(鳥取労働局の案内をもとに作成)

※補足:高年齢求職者給付金の支給日数は、雇用保険の被保険者であった期間が1年未満なら30日分、1年以上なら50日分です。1回の認定日に失業の状態であれば、所定の日数分がまとめて支給されます(鳥取労働局)。


◆ 実際の支給額の例

賃金日額1万円、基本手当日額7,000円の場合:

  • 30日分(加入期間1年未満) → 21万円
  • 50日分(加入期間1年以上) → 35万円

65歳以上でも意外に受給額は大きく、
老後生活の立ち上がりを支えてくれる制度です。


■ 7. 会社役員・経営者は失業給付を受けられる?

役員でも、使用人兼務役員として雇用保険に加入し、実態として労働者であれば受給できる場合がありますが、代表者や経営を実質的に支配する役員は対象外です。

結論は次の2つです。


✔ 受けられるケースもある

✔ 受けられないケースもある


◆ 経営者でも受給できる条件

  • 雇用保険に「労働者として」加入していた
  • 実態として労働者であり、指揮命令下で働いていた
  • 役員報酬とは別に給与があり、労働時間が管理されていた

特に「名ばかり役員」ケースは争点になりやすいですが、
実態として労働者であれば原則受給できます。


◆ 受給できないケース

  • 会社の経営を実質的に支配している(代表)
  • 出資比率が大きく経営判断権がある
  • 労働者性が認められない

中小企業の社長は多くが該当するため、
基本的には 受給が難しい場合が多い というのが実務的な判断です。


■ 8. 再雇用(継続雇用)された場合はどうなる?

定年後にそのまま同じ会社に再雇用された場合は失業していないため給付はなく、同じ会社や関連会社に再び雇われた場合は再就職手当も対象外です。

定年後に同じ会社に再雇用される人が増えています。

再雇用された場合の扱いは、次のとおりです。


✔ 退職していないため失業ではない → 給付なし

✔ 退職後、再雇用されるまでの間に失業の状態があれば → その期間は給付の可能性あり


ここが大きな誤解ポイントです。

◆ ケース別に整理

ケース給付
定年後そのまま再雇用契約(空白なし)✕ 失業扱いにならない
一度退職し、空白期間あり → 再雇用△ 空白期間中に求職の申込みをして失業の状態であれば、その期間のみ給付の可能性
退職後、元の会社(関連会社を含む)に再び雇用された✕ 再就職手当の対象外
再雇用と失業給付の関係

再雇用と失業給付の関係は複雑なため、
タイミングの判断が重要です。


■ 9. 再就職手当(早期再就職のボーナス)も対象になる

基本手当の受給資格がある人が、支給残日数を3分の1以上残して1年を超えて働く仕事に早く就くと、残日数の60%または70%が再就職手当として支給されます。

基本手当の受給資格を持つ人が
早く再就職すると 再就職手当 が支給されます。


◆ 支給条件の一部

  • 7日待期後に就職
  • 1年を超えて引き続き雇用されることが確実
  • 基本手当の残日数が3分の1以上
  • 過去3年以内に同手当をもらっていない
  • 離職前の事業主(資本・人事・取引などで密接な関係にある事業主を含む)に再び雇用されたものでない
  • 受給資格決定前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでない
  • 給付制限がある場合、待期満了後1か月はハローワーク等の紹介で就職したこと

◆ 支給額

基本手当の残日数 × 基本手当日額 × 支給率(60~70%)

※支給残日数が所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%です。計算に使う基本手当日額には、別に上限があります(札幌ハローワーク)。

定年退職者でも、65歳未満で基本手当の受給資格があれば通常通り対象となります。65歳以上の高年齢求職者給付金には、再就職手当はありません。


■ 10. 基本手当を受けるための手続きの流れ

離職票を受け取ってハローワークで求職の申込みをし、受給資格の決定と7日間の待期を経て、4週間ごとの失業認定を受けながら基本手当を受け取ります。


STEP1:離職票を受け取る

会社から「離職票1・2」が届く。


STEP2:ハローワークで求職申込

ここで初めて“失業の状態”と認定される。


STEP3:受給資格の決定

雇用保険加入期間・退職理由などを確認。


STEP4:7日間の待期期間

一切の給付は発生しない。


STEP5:定年退職は給付制限なし(自己都合退職は原則1か月)

定年退職には給付制限がなく、7日間の待期の後から支給の対象になります。自己都合退職の場合は、待期満了の翌日から原則1か月の給付制限があります(2025年4月から原則2か月→1か月に短縮)。


STEP6:最初の認定日から受給開始


STEP7:4週間ごとの失業認定を受ける

引き続き「仕事を探している状態」であることを示す必要がある。


■ 11. 定年退職者が失業給付で失敗しやすいポイント

定年退職者は、再雇用のタイミング、65歳以降の一時金化、役員の労働者性、受給期間と延長の手続き、求職活動の実績で失敗しやすいため注意が必要です。

①「再雇用=失業給付なし」を理解していない

再雇用のタイミングは非常に重要。


② 65歳以降は基本手当ではなく“一時金”になる

老後資金計画を誤りやすい。


③ 経営者は受給できると思い込んでいる

労働者性が無い場合は受給不可。


④ 離職票の受け取り遅れ

受給期間は原則として離職日の翌日から1年間のため、手続きが数カ月遅れると、所定給付日数を受け切れないおそれがある。休養したい場合は、離職日の翌日から2か月以内に受給期間の延長を申し出る。


⑤ 就職活動実績が不足して受給停止

「働く意思」が行動で示されている必要がある。


■ 12. まとめ:定年後の失業給付は“第二のキャリア設計”に重要

定年退職でも失業給付は受けられ、65歳未満は給付制限のない基本手当、65歳以上は一時金になります。受給期間の延長や再雇用のタイミングを踏まえて計画的に手続きしましょう。

定年退職は終わりではなく、
第二のキャリアの始まりです。


✔ 定年退職でも失業給付は受けられる(給付制限なし)

✔ 65歳未満 → 基本手当

✔ 65歳以上 → 高年齢求職者給付金(一時金)

✔ 給付額は賃金日額で計算

✔ 再雇用のタイミングに注意

✔ 経営者・役員の受給はケースにより異なる

✔ 再就職手当も活用可能

✔ 60歳以上の定年退職者は受給期間を最長1年延長できる


定年後の収入の空白期間を埋め、
再就職の不安を和らげる重要な制度でもあります。

経営者としては、自社の従業員だけでなく、
自身の定年後の働き方を考える上でも理解しておくべき制度です。

※本記事は一般的な解説です。受給資格や給付日数、手続きの詳細は、住所地を管轄するハローワークでご確認ください。


よくある質問(FAQ)

定年退職後の失業給付について、よく寄せられる質問に結論から回答します。

Q. 定年退職でも失業給付はもらえますか?

もらえます。働く意思と能力があり、ハローワークで求職の申込みをすれば失業の状態とみなされ、65歳未満は基本手当、65歳以上は高年齢求職者給付金の対象になります。

Q. 定年退職に給付制限はありますか?

ありません。定年退職は7日間の待期の後から支給の対象になります。自己都合退職の場合は、原則1か月の給付制限があります。

Q. 定年退職後すぐに働かない場合、受給期間は延長できますか?

60歳以上で定年退職した人は、離職日の翌日から2か月以内にハローワークに申し出れば、原則1年の受給期間を最長1年延長できます。

Q. 65歳以上で退職した場合はいくらもらえますか?

高年齢求職者給付金として、雇用保険の加入期間が1年未満なら基本手当日額の30日分、1年以上なら50日分が一時金で支給されます。

Q. 定年後に同じ会社に再雇用された場合はどうなりますか?

空白期間なく再雇用された場合は失業していないため給付はありません。離職前の会社や関連会社に再び雇用された場合は、再就職手当の対象にもなりません。

出典・参考

本記事の主な出典と、2026年10月30日の更新時に確認した資料は次のとおりです。

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