こんにちは、竹内です。
9月が終わり、10月に入りました。
2026年も残すところ、あと3か月です。
このところ経営者の方々と話をしていても、業界や会社によって状況が大きく異なることを感じます。
経営が上向いている業界もあれば、厳しい業界もある。
しかし、もう少し細かく見ていくと、さらに興味深い構図があります。
- 好調な業界の中にも、飛び抜けて業績を伸ばしている会社と、苦戦している会社がある
- 厳しいと言われる業界の中にも、着実に成長している会社がある
- 市場が拡大していても、経営がうまくいかない会社がある
- 反対に、市場が縮小していても、利益を確保している会社がある
つまり、業界の良し悪しと、個々の会社の業績は必ずしも一致しないということです。
不動産市場についても、これまでのように価格上昇や含み益を前提にした経営判断は、改めて見直す必要があります。地域や物件によって状況は異なりますが、保有資産の価値が将来も上がり続けるとは限りません。
こうした環境の中で、経営者は何をすべきなのか。
私が重要だと感じているのは、
地道に経営を積み上げること。そして、その一方で新しい試みを小さく始めること。
今回は、9月29日から10月4日にかけて公開した動画を振り返りながら、これからの中小企業経営について考えてみたいと思います。
Contents
- 1 1.倒産が増える時代に、まず見直したい自社の経営基盤
- 2 2.大企業の決算からも、経営者が学べることがある
- 3 3.起業が多い地域でも、倒産が多い地域でもある理由
- 4 4.10月から変わる会社の守り方。法制度と職場環境を見直す
- 5 5.173億円の赤字をどう見るか。事業の評価は数字を分解して考える
- 6 6.不動産価格も、上昇を前提にした経営から見直す
- 7 7.これからの経営は「地道な積み上げ」と「小さな挑戦」
- 8 8.経営者が10月に確認したい5つのこと
- 9 まとめ|大きく賭けるより、小さく試して積み上げる
- 10 今週公開した動画
- 10.1 ① 【倒産急増】円安で利益が消える!コロナ融資の返済も続く…中小企業を襲う二重苦
- 10.2 ② 【ニデック5646億円赤字】決算発表で見えた「本当の問題」|経営者が見るべき5つの争点
- 10.3 ③ 【2026年最新】なぜ「〇〇区」が全国市区町村で倒産最多?新設法人最多の裏側と「起業5年・10年」の壁
- 10.4 ④ 【10月1日から】何が変わる?カスハラ・採用・パワハラ「新しい会社の守り方」
- 10.5 ⑤ 【173億円赤字】ジャングリア沖縄を「赤字」だけで判断してはいけない|経営者が見るべき5つの数字
- 10.6 ⑥ 【倒産急増】老舗でも、職人でも、新興企業でも生き残れない時代に何が起きているのか?
1.倒産が増える時代に、まず見直したい自社の経営基盤
最初に取り上げたのは、円安とコロナ融資の返済が中小企業に与える影響です。
円安が進めば、輸入原材料やエネルギー、仕入商品などの価格に影響します。
一方で、仕入価格が上がったからといって、その分を販売価格に転嫁できるとは限りません。
価格転嫁ができなければ、粗利益率が下がります。
さらに、コロナ禍に借り入れた融資の返済が続いている企業では、日々の資金繰りにも負担がかかります。
つまり、
仕入コストの上昇と、借入返済による資金流出が同時に発生する。
これが中小企業にとっての大きな課題です。
ここで改めて確認したいのは、売上高だけではありません。
- 売上高は前年と比べてどう変化しているか
- 粗利益率は維持できているか
- 人件費や外注費はどの程度増えているか
- 営業利益は確保できているか
- 借入返済後に手元資金は残っているか
こうした数字を確認する必要があります。
売上が増えていても、利益が減っている会社はあります。
利益が出ていても、借入返済や運転資金の増加によって、手元の現金が減っている会社もあります。
だからこそ、今の経営では、
「売上を伸ばすこと」と「お金を残すこと」を分けて考える
必要があります。
まずは自社の収益構造と資金繰りを把握する。
これが、変化の激しい時代における経営の土台です。
2.大企業の決算からも、経営者が学べることがある
今回の動画では、ニデックの巨額赤字を取り上げました。
大企業の決算というと、中小企業には規模が違いすぎて関係ないと感じるかもしれません。
しかし、私は大企業の決算を見るとき、単純に黒字か赤字かだけで判断しないようにしています。
見るべきなのは、
- なぜその利益・損失が発生したのか
- どの事業が会社全体を支えているのか
- どの事業に問題が生じているのか
- 経営陣はどのような判断をしてきたのか
- 今後、どのような事業構造に変えようとしているのか
という点です。
これは中小企業でも同じです。
例えば、会社全体では黒字でも、一部の事業が赤字を生み続けている場合があります。
反対に、現在は赤字でも、将来の収益につながる投資段階にある事業もあります。
重要なのは、赤字という結果だけで判断するのではなく、その中身を理解することです。
赤字には、改善すべき赤字と、将来の成長に向けた投資による赤字があります。
もちろん、将来への投資であれば何でも許されるわけではありません。
投資の目的、回収の見通し、資金負担、撤退基準などを明確にしておく必要があります。
中小企業であっても、事業ごとに収益性や将来性を確認し、経営資源をどこに配分するかを考えることが大切です。
3.起業が多い地域でも、倒産が多い地域でもある理由
次に取り上げたのが、全国の市区町村における倒産と新設法人の動向です。
今回の動画では、特定の区で倒産が多い一方、新設法人も多いという構図を取り上げました。
ここから考えたいのは、
新しく会社が生まれることと、会社が長く存続することは別の問題である
ということです。
起業すること自体は、以前より身近になっています。
しかし、会社を設立したからといって、事業が軌道に乗るわけではありません。
顧客を獲得する。
商品やサービスを磨く。
利益を確保する。
資金繰りを管理する。
組織をつくる。
こうした経営活動を継続していく必要があります。
特に起業から5年、10年という節目では、創業当初の事業モデルを見直す必要が出てくることもあります。
創業期は、経営者自身の営業力や行動力で事業を伸ばせることがあります。
しかし、事業が大きくなるにつれて、経営者一人の力だけでは限界が出てきます。
組織をつくる。
業務を標準化する。
人材を育成する。
管理者に権限を移譲する。
こうした仕組みづくりが必要になります。
会社をつくる力と、会社を継続させる力は違う。
これは、創業間もない会社だけでなく、長年経営を続けている会社にも当てはまることだと思います。
4.10月から変わる会社の守り方。法制度と職場環境を見直す
今回の動画では、10月1日からの制度・職場環境に関する変化も取り上げました。
カスタマーハラスメントへの対応、採用、パワーハラスメントなど、企業が向き合うべきテーマは広がっています。
ここで経営者に考えていただきたいのは、法律や制度への対応を、単なる事務作業にしないことです。
例えば、カスタマーハラスメントへの対応であれば、
- どのような行為を問題として扱うのか
- 誰が判断するのか
- 現場の従業員をどう守るのか
- 問題が起きた際に、誰に報告するのか
といったことを明確にする必要があります。
また、採用やパワーハラスメントへの対応も同様です。
ルールを作るだけでは、現場は変わりません。
管理職が理解し、実際の職場で運用できるようにすることが重要です。
会社を守るということは、トラブルが起きたときに対応することだけではありません。
トラブルが起きにくい組織をつくること、そして従業員が安心して働ける環境を整えること。
これも経営者の重要な仕事です。
5.173億円の赤字をどう見るか。事業の評価は数字を分解して考える
今回もう一つ取り上げたのが、ジャングリア沖縄の赤字に関する話題です。
事業の赤字が報じられると、どうしてもその数字だけに注目してしまいます。
しかし、事業を評価するときには、赤字額だけで結論を出すべきではありません。
例えば、次のような数字を分けて見る必要があります。
- 売上高:どれだけの売上を生み出しているか
- 粗利益:売上から直接的な原価を差し引いて、どれだけ残るか
- 営業利益:本業でどれだけ利益を生み出しているか
- キャッシュフロー:実際に現金がどの程度動いているか
- 投資回収:これまでの投資をどのような期間で回収する計画なのか
特に、新規事業や大規模投資では、初期投資が先行することがあります。
そのため、開業直後の損益だけで事業の成否を判断することはできません。
一方で、「将来のための投資だから」という理由だけで、赤字を正当化することもできません。
いつまでに、どのような状態を目指すのか。
どの数字が改善すれば、事業が軌道に乗ったと判断するのか。
追加投資を行う条件や、撤退を検討する基準は何か。
こうしたことを事前に決めておく必要があります。
これは大企業だけの話ではありません。
中小企業が新店舗を出すとき、新商品を開発するとき、新しいサービスを始めるときにも同じです。
新しい挑戦には、期待だけでなく、数字による検証が必要です。
6.不動産価格も、上昇を前提にした経営から見直す
もう一つ、私が気になっているのが不動産市場です。
これまで不動産価格は上昇基調が続き、保有物件の含み益を経営上の余力として捉えていた方もいると思います。
しかし、これからも同じように価格が上がり続けるとは限りません。
不動産価格は、地域、用途、築年数、物件の状態、金利、需給などによって異なります。
そのため、全国一律に下落していると判断することはできません。国土交通省の不動産価格指数も公表時期の延期が発表されており、直近の全国的な動向を判断する際には、データの公表状況にも注意が必要です。
大切なのは、含み益があることを前提に経営計画を立てないことです。
例えば、不動産を保有している会社であれば、
- 現在の賃料収入で安定的に運営できているか
- 金利が上がっても返済を続けられるか
- 修繕費や設備更新費を確保できているか
- 空室や賃料下落に耐えられるか
- 売却する場合、どの程度の価格を想定するか
といった点を確認する必要があります。
資産価値が上がることを期待するのではなく、保有している資産そのものから、どれだけ安定した収益を生み出せるか。
そうした視点が、これまで以上に重要になると感じています。
7.これからの経営は「地道な積み上げ」と「小さな挑戦」
ここまで、倒産、企業決算、起業、法制度、不動産市場と、さまざまなテーマを取り上げてきました。
これらを踏まえて、今、私が中小企業経営者に大切にしてほしいと考えていることがあります。
それは、
地道に経営を積み上げること。そして、新しい試みを小さく始めること。
この2つです。
まずは、地道に経営を積み上げる
経営環境が不透明なときほど、基本をおろそかにしてはいけません。
- 既存顧客との関係を深める
- 商品・サービスの品質を高める
- 利益率を改善する
- 資金繰りを把握する
- 社員を育成する
- 業務の無駄をなくす
- 管理職が自分で判断できる組織をつくる
こうした取り組みは、派手ではありません。
すぐに大きな成果が出るとも限りません。
しかし、会社の基礎体力を高めるためには欠かせないものです。
景気が良いときも、悪いときも、こうした積み上げができている会社は、環境変化に対応する余地を持つことができます。
一方で、新しい試みを小さく始める
もう一つ大切なのが、新しい挑戦です。
ただし、いきなり大きな投資をする必要はありません。
むしろ、最初から大きく始めることにはリスクがあります。
例えば、
- 既存顧客に新しいサービスを提案してみる
- 新しい販売チャネルを試してみる
- 小規模な新商品を投入してみる
- 新しい顧客層に向けて情報発信してみる
- AIやITを使って一つの業務を効率化してみる
- 新規事業のアイデアを小さく検証してみる
といったことです。
最初から大きな売上を狙うのではなく、小さく試して、反応を見る。
うまくいけば少しずつ広げる。
うまくいかなければ、損失を限定した状態で見直す。
こうした進め方であれば、既存事業を守りながら、新しい可能性を探ることができます。
守ることと、挑戦することは、決して相反するものではありません。
むしろ、既存事業が安定しているからこそ、新しい挑戦に取り組む余地が生まれます。
8.経営者が10月に確認したい5つのこと
10月に入った今、ぜひ自社について次の5つを確認してみてください。
① 自社の利益は、どこから生まれているか
売上高だけでなく、商品別・顧客別・事業別に利益を確認する。
② 資金繰りに無理はないか
借入返済、仕入代金、人件費、税金、設備投資などを踏まえ、今後の資金繰りを確認する。
③ 今の事業モデルは、今後も通用するか
顧客の変化、競合の動き、価格、販売方法などを見直す。
④ 新しい挑戦を小さく始められないか
大きな投資を決める前に、小さなテストや試験販売で需要を確認する。
⑤ 経営者がいなくても回る仕組みができているか
特定の人に仕事が集中していないか。管理職や社員が自分で考え、判断し、改善できる組織になっているか。
この5つを確認するだけでも、次に取り組むべきことが見えてくるはずです。
まとめ|大きく賭けるより、小さく試して積み上げる
9月が終わり、10月に入りました。
業界の好不調、企業の業績、不動産価格、金利、倒産動向。
経営を取り巻く環境は、これまで以上に複雑になっています。
しかし、どの業界にいるかだけで、会社の将来が決まるわけではありません。
好調な業界でも苦戦する会社がある。
厳しい業界でも成長する会社がある。
大切なのは、外部環境を正しく捉えたうえで、自社の経営をどう変えていくかです。
私が今、重要だと考えているのは、
「守りを固めながら、小さな挑戦を続けること」
です。
既存事業の利益を確保する。
顧客との関係を深める。
社員を育てる。
資金繰りを管理する。
そして、新しいサービスや事業の可能性を小さく試してみる。
一つひとつは小さな取り組みかもしれません。
しかし、その積み重ねが、数年後の会社の姿を変えていくのだと思います。
大きな変化を一度に起こそうとする必要はありません。
地道に積み上げることと、小さく挑戦すること。
この両輪で、10月からの経営を考えていきたいと思います。
今週公開した動画
① 【倒産急増】円安で利益が消える!コロナ融資の返済も続く…中小企業を襲う二重苦
② 【ニデック5646億円赤字】決算発表で見えた「本当の問題」|経営者が見るべき5つの争点
③ 【2026年最新】なぜ「〇〇区」が全国市区町村で倒産最多?新設法人最多の裏側と「起業5年・10年」の壁
④ 【10月1日から】何が変わる?カスハラ・採用・パワハラ「新しい会社の守り方」
⑤ 【173億円赤字】ジャングリア沖縄を「赤字」だけで判断してはいけない|経営者が見るべき5つの数字
⑥ 【倒産急増】老舗でも、職人でも、新興企業でも生き残れない時代に何が起きているのか?
「事業創造ラボ」では、これからも経済ニュースや企業動向を、中小企業経営者の視点で読み解いていきます。