人手不足が深刻化するなか、中小企業にとって賃上げは、採用競争に勝つためだけでなく、今いる従業員に働き続けてもらうためにも重要な経営課題になっています。
しかし、経営者にとって悩ましいのが、賃上げによる人件費の増加です。
給与を引き上げれば従業員の生活を支え、採用や定着にもつながります。一方で、売上や利益が十分に伸びなければ、会社の資金繰りを圧迫しかねません。
そこで確認したいのが、厚生労働省が令和8年度(2026年度)に取りまとめた「賃上げ」支援助成金パッケージです。
このパッケージでは、設備投資による生産性向上、従業員の能力開発、非正規雇用労働者の処遇改善、人事制度の整備、中途採用など、さまざまな取り組みを支援する8つの助成金制度が紹介されています。
この記事では、各制度の対象となる取り組み、助成額、活用場面、注意点を整理し、中小企業経営者が自社に合った制度を選ぶための判断ポイントを解説します。
※本記事は2026年10月23日時点で確認できる厚生労働省の令和8年度資料を基にしています。助成額は要件や企業規模、取り組み内容によって異なります。申請前には必ず各制度の最新の支給要領・公募情報をご確認ください。
この記事の結論
- 設備投資と最低賃金の引き上げを組み合わせるなら「業務改善助成金」。生産性向上のための投資費用の一部が助成されます。
- パート・有期雇用労働者の賃上げなら「キャリアアップ助成金」。基本給の賃金規定を3%以上増額改定する取り組みなどが対象です。
- 残業削減や休暇取得の促進なら「働き方改革推進支援助成金」。働きやすい職場づくりと生産性向上を目指せます。
- 従業員のスキル向上や人事制度の整備なら、人材開発支援助成金・人材確保等支援助成金が候補になります。
- 採用や人材の受け入れを強化するなら、早期再就職支援等助成金・産業雇用安定助成金も確認したい制度です。
重要なのは、賃上げを実施するだけで自動的に助成されるわけではないという点です。各制度が求める取り組みや手続き、賃金引き上げの条件を満たす必要があります。
1. 厚生労働省の「賃上げ」支援助成金パッケージとは?
厚生労働省の「賃上げ」支援助成金パッケージは、企業の賃上げを支援するため、関連する助成金を目的別に整理したものです。
大きく分けると、次の3つの方向性があります。
| 支援の方向性 | 主な取り組み | 対応する助成金 |
|---|---|---|
| 生産性向上 | 設備投資、業務効率化、職業訓練、人事制度・職場環境の整備 | 業務改善助成金、働き方改革推進支援助成金、人材開発支援助成金、人材確保等支援助成金 |
| 非正規雇用の処遇改善 | 賃金規定の改定、正社員転換 | キャリアアップ助成金 |
| 採用・労働移動・能力向上 | 離職者の雇い入れ、中途採用、在籍型出向によるスキルアップ | 早期再就職支援等助成金、産業雇用安定助成金 |
出典:厚生労働省「『賃上げ』支援助成金パッケージ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/package_00007.html
この一覧から分かるのは、賃上げ支援が給与の増額だけに限定されていないことです。
生産性を高める、従業員の能力を引き上げる、離職を防ぐ、採用した人材を定着させる。こうした取り組みも支援の対象になっています。
2. 業務改善助成金|設備投資と最低賃金の引き上げを組み合わせる
業務改善助成金は、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資などを行う中小企業等に対し、費用の一部を助成する制度です。
設備投資と賃上げを同時に進めたい企業にとって、最初に検討したい制度の一つです。
主なポイント
- 対象:一定の要件を満たす中小企業・小規模事業者
- 取り組み:事業場内最低賃金の引き上げと、生産性向上に資する設備投資等
- 助成額:最大600万円
- 助成率:要件により3/4または4/5
- 申請単位:工場や事務所などの事業場ごと
例えば、業務用機械の導入によって作業時間を短縮し、その効果を活用して最低賃金の引き上げを進めるといった取り組みが考えられます。
厚生労働省の案内では、事業場内最低賃金で働く労働者3人の時給を70円引き上げた場合、設備投資費用に対して最大100万円が助成される例も示されています。
ただし、最大600万円が一律に支給されるわけではありません。引き上げ額、対象労働者数、助成率、設備投資額などによって助成額が決まります。
注意点
特に注意したいのが、実施の順序です。
原則として、賃金引き上げ計画と設備投資等の計画を立てて申請し、交付決定を受けてから取り組みを進めます。申請前の賃上げや交付決定前の設備投資は対象外となるため、先に設備を購入したり、賃金を引き上げたりしないよう注意が必要です。
また、令和8年度の案内では、事業場内最低賃金がその年度の地域別最低賃金未満であることなど、対象となるための条件も定められています。
2026年度の申請期限・賃金引き上げ期間には地域別最低賃金の発効日に関係する条件があるため、最新の案内を確認してください。
公式資料:
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001694031.pdf
3. キャリアアップ助成金|パートや有期雇用労働者の賃上げ・正社員化に活用
キャリアアップ助成金には複数のコースがあります。今回の賃上げ支援パッケージで確認したいのは、主に「賃金規定等改定コース」と「正社員化コース」です。
賃金規定等改定コース
有期雇用労働者などの基本給に関する賃金規定等を3%以上増額改定し、その規定を適用した場合に助成されます。
| 賃金の引き上げ率 | 中小企業の助成額(1人当たり) |
|---|---|
| 3%以上4%未満 | 4万円 |
| 4%以上5%未満 | 5万円 |
| 5%以上6%未満 | 6.5万円 |
| 6%以上 | 7万円 |
大企業の場合は、1人当たり最大4.6万円です。
例えば、中小企業が賃金規定を5%増額改定し、10人の有期雇用労働者に適用した場合、厚生労働省の活用例では合計65万円が支給されます。
※上記は制度の所定要件を満たした場合の金額です。
この制度は、パートや有期雇用労働者の基本給を体系的に引き上げたい企業に適しています。単に個別の従業員へ臨時の手当を支給するのではなく、賃金規定等の改定と適用が重要になります。
また、職務評価を活用した賃金規定の改定や、非正規雇用労働者に適用される昇給制度の新設による加算措置も設けられています。
正社員化コース
有期雇用労働者や無期雇用労働者などを正社員に転換し、所定の要件を満たした場合に助成されます。
中小企業の場合、重点支援対象者に該当する有期雇用労働者を正社員に転換すると、1人当たり最大80万円が支給されます。
| 転換の内容 | 重点支援対象者 | それ以外の対象者 |
|---|---|---|
| 有期雇用から正社員へ | 80万円/人 | 40万円/人 |
| 無期雇用から正社員へ | 40万円/人 | 20万円/人 |
さらに、所定の要件を満たす場合には、正社員転換制度を新たに規定して転換を実施することで、1事業所当たり20万円の加算を受けられます。
例えば、重点支援対象者に該当する有期雇用労働者を正社員に転換し、正社員転換制度の新設に関する加算要件も満たした場合、基本の助成額80万円に事業所単位の20万円が加算される仕組みです。
ただし、20万円の加算は従業員1人ごとではなく、1事業所当たりの加算です。また、加算には正社員転換制度を新たに規定するなどの要件があります。
なお、正社員転換後6か月間の賃金を転換前6か月間と比較して3%以上増額することなど、基本的な支給要件も満たす必要があります。
経営者が確認したいポイント
- 非正規雇用労働者を正社員に転換する予定があるか
- 対象者が重点支援対象者に該当するか
- 正社員転換制度を新たに規定する予定があるか
- 転換後の賃金引き上げや必要な事前手続きを満たせるか
公式資料:厚生労働省「キャリアアップ助成金(令和8年度)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001687990.pdf
4. 働き方改革推進支援助成金|残業削減と生産性向上を同時に進める
働き方改革推進支援助成金は、労働時間の削減、年次有給休暇の取得促進、勤務間インターバル制度の導入などに取り組む中小企業事業主を支援する制度です。
外部専門家によるコンサルティングや、労働能率を高める設備・機器の導入などが対象になり得ます。
主なコース
- 業種別課題対応コース
- 労働時間短縮・年休促進支援コース
- 勤務間インターバル導入コース
コースごとに対象となる課題や成果目標が異なります。選択するコース、達成する成果目標、導入する設備などによって助成額が決まります。
厚生労働省のパッケージでは、設備投資などの費用に対して最大25万~550万円が助成される活用例が示されています。
さらに、賃金引き上げを行った場合には、引き上げ率・人数・企業規模等に応じて最大720万円が加算される仕組みや、割増賃金率の引き上げによる最大100万円の加算も紹介されています。
※加算額は、該当する要件を満たした場合の上限です。すべての企業が同額を受け取れるわけではありません。
どんな企業に向いているか
- 残業時間が長く、従業員の負担が大きい企業
- 年次有給休暇を取得しやすい職場に変えたい企業
- 労務管理システムや業務機器を導入し、業務効率を高めたい企業
- 労働時間を削減しながら賃上げも進めたい企業
人手不足への対応では、採用人数を増やすことだけが解決策ではありません。今いる従業員の労働時間当たりの生産性を高め、無理なく働ける環境をつくることも重要です。
公式資料:
https://www.mhlw.go.jp/content/001696150.pdf
5. 人材開発支援助成金|教育訓練への投資と賃上げを組み合わせる
人材開発支援助成金は、職務に関連する専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練などを実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などを助成する制度です。
単に賃金を引き上げるのではなく、従業員の能力を高め、より高い生産性や付加価値につなげたい企業に向いています。
活用例
厚生労働省のパッケージでは、中小企業が正規雇用労働者1人に10時間の訓練を受講させ、訓練経費が10万円で、訓練終了後にその受講者の賃上げを行った場合、7万円が支給される例が示されています。
これはあくまで所定の要件を満たす場合の活用例であり、すべての研修に同じ助成額が適用されるわけではありません。
どんな訓練が候補になるか
例えば、次のような取り組みが考えられます。
- 業務に必要な専門技術の習得
- デジタルツールや業務システムの活用研修
- 職務に関連した資格取得や専門知識の習得
- 生産性向上につながる職業訓練
重要なのは、研修を実施すること自体ではなく、訓練の目的、対象となる職務、訓練内容、実施方法などが制度の要件を満たしているかという点です。
また、訓練後の賃金引き上げ等によって助成率や助成額が加算される場合があります。
公式資料:
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001687559.pdf
6. 人材確保等支援助成金|人事制度や職場環境を整え、離職を防ぐ
人材確保等支援助成金の「雇用管理制度・雇用環境整備助成コース」は、雇用管理制度や作業負担を軽減する機器などを導入し、離職率低下の目標などを達成した事業主を支援する制度です。
賃金だけでなく、働き続けたいと思える職場づくりを進めたい企業にとって、重要な選択肢です。
対象となる主な取り組み
| 取り組み | 賃上げを行った場合の助成額・助成率 |
|---|---|
| 賃金規定制度の導入 | 50万円 |
| 諸手当等制度の導入 | 50万円 |
| 人事評価制度の導入 | 50万円 |
| 職場活性化制度の導入 | 25万円 |
| 健康づくり制度の導入 | 25万円 |
| 作業負担を軽減する機器等の導入 | 対象経費の62.5% |
括弧内の金額・助成率は、賃上げを行った場合以外の額を示す厚生労働省資料の表示とは区別して確認してください。賃金規定制度の導入による助成は中小企業が対象です。
雇用管理制度のうち複数を導入した場合の上限額は、賃上げの要件により100万円または80万円。作業負担を軽減する機器等の導入による助成の上限額は、要件により225万円または150万円です。
複数の制度や機器等を組み合わせた場合、厚生労働省のパッケージでは最大325万円の活用例が示されています。
経営者が考えたいポイント
人が辞める原因は、給与だけとは限りません。
- 評価基準が不明確で、頑張りが処遇に反映されない
- 管理職によって指導や評価の方法が違う
- 仕事の負担が大きく、休みにくい
- 資格や役割に応じた手当が整備されていない
- 作業負担を減らす設備や機器が不足している
こうした問題を改善し、賃金制度・評価制度・職場環境を一体的に整備することが、採用と定着の両面で重要になります。
ただし、制度を導入するだけで助成されるわけではなく、離職率低下などの成果目標や所定の要件を満たす必要があります。
公式資料:
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001692265.pdf
7. 早期再就職支援等助成金|中途採用を強化する企業向け
早期再就職支援等助成金には、今回のパッケージで紹介されている「雇入れ支援コース」と「中途採用拡大コース」があります。
雇入れ支援コース
事業規模の縮小などに伴って離職を余儀なくされた労働者を早期に無期雇用で雇い入れ、雇入れ前と比較して賃金を5%以上上昇させた場合に助成されます。
| 区分 | 助成額 |
|---|---|
| 通常 | 対象労働者1人当たり30万円 |
| 優遇助成 | 対象労働者1人当たり40万円 |
対象となるのは、再就職援助計画の対象者や雇用保険の特定受給資格者など、所定の要件を満たす労働者です。一般的な中途採用者を採用すれば一律に対象となるわけではありません。
公式資料:
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001689060.pdf
中途採用拡大コース
中途採用者の雇用管理制度を整備したうえで、中途採用率を一定以上拡大させ、雇い入れた中途採用者の賃金を5%以上上昇させた場合に助成されます。
- 通常:対象労働者1人当たり20万円
- 成長要件加算:対象労働者1人当たり10万円を加算
中途採用率を前年同期と比較して5ポイント以上上昇させるか、計画期間中の中途採用率が50%以上であることなど、所定の条件があります。
また、対象者を雇い入れる前日までに中途採用計画を作成・提出する必要があります。
公式資料:
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001692267.pdf
8. 産業雇用安定助成金|在籍型出向で人材育成と賃上げを進める
産業雇用安定助成金の「スキルアップ支援コース」は、在籍型出向によって労働者のスキルアップを図り、出向から復帰した後の賃金を復帰前と比較して5%以上増加させた場合などに支援する制度です。
出向元だけでなく、出向先も助成対象となり得ることが特徴です。
助成額
- 中小企業:出向元・出向先が負担した出向中の賃金の一部について、それぞれ2/3
- 中小企業以外:それぞれ1/2
- 対象期間:最長1年
- 助成額の上限:出向者1人当たり8,870円/日
実際の助成額は、出向中の賃金負担額や実労働日数、制度の要件などによって決まります。
例えば、ある業務に必要な技能を社内だけでは十分に習得させられない場合、別の企業で実務経験を積ませ、復帰後に能力を発揮してもらう方法が考えられます。
ただし、出向させるだけで助成されるわけではありません。スキルアップの目的や出向計画、賃金の取り扱い、復帰後の賃金引き上げなど、所定の要件を確認する必要があります。
9. 自社では、どの助成金を優先して検討すべきか?
ここまで8つの助成金を紹介しましたが、制度名だけを見て選ぶのではなく、まず自社が何を解決したいのかを整理しましょう。
| 自社の課題・目的 | 優先して確認したい制度 |
|---|---|
| 最低賃金を引き上げながら設備投資したい | 業務改善助成金 |
| パート・有期雇用労働者の基本給を引き上げたい | キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース) |
| 非正規雇用から正社員への転換を進めたい | キャリアアップ助成金(正社員化コース) |
| 残業を減らし、休暇を取りやすくしたい | 働き方改革推進支援助成金 |
| 従業員の専門知識・技能を高めたい | 人材開発支援助成金 |
| 人事評価制度や賃金制度を整備し、離職を防ぎたい | 人材確保等支援助成金 |
| 特定の離職者を採用し、処遇を引き上げたい | 早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース) |
| 中途採用の比率を高めたい | 早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース) |
| 在籍型出向で人材を育成したい | 産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース) |
制度によって、対象者、賃金引き上げの条件、申請のタイミング、成果目標は異なります。
また、同じ設備投資や賃金引き上げに対して、複数の助成金を自由に重ねて受給できるとは限りません。併給調整や対象経費の重複などを確認してください。
10. 助成金を使う前に、経営者が確認したい5つのこと
① 賃上げの目的を明確にする
最低賃金への対応なのか、採用競争力の強化なのか、既存従業員の定着なのか。目的によって選ぶ制度は異なります。
② 賃上げによる人件費増加を試算する
例えば、対象となる従業員10人の時給を50円引き上げ、1人当たり月160時間働く場合、単純計算で月8万円、年間96万円の賃金増加になります。
これは賞与、社会保険料の事業主負担、残業代への影響などを含まない概算です。実際には、会社全体の人件費増加を試算する必要があります。
③ 生産性向上や利益改善と結びつける
設備投資や研修を行う場合は、導入後にどのような成果を目指すのかを整理します。
例えば、作業時間の削減、時間当たりの生産量の増加、残業時間の削減、顧客対応の迅速化など、取り組みの効果を確認できる指標を設定します。
④ 申請前に要件と期限を確認する
助成金によっては、計画の提出や認定、交付決定などを取り組みの実施前に行う必要があります。
先に設備を購入したり、制度を導入したりすると対象外になる可能性があるため、実施順序を必ず確認してください。
⑤ 受給後も続けられる計画にする
助成金は、賃上げによって将来の人件費がなくなる仕組みではありません。
一時的な助成を受けても、翌年度以降の給与、社会保険料、教育費、設備の維持費などは会社が負担します。助成終了後も賃金水準を維持できるよう、利益計画や資金繰りと合わせて検討することが大切です。
11. よくある質問
Q1. 賃上げをすれば、助成金を受け取れますか?
いいえ。賃上げだけで自動的に助成されるわけではありません。各制度で定められた対象者、取り組み、計画、申請手続き、成果目標などを満たす必要があります。
Q2. 中小企業なら、どの制度でも利用できますか?
いいえ。制度ごとに対象となる企業、従業員、事業場、取り組みが異なります。企業規模だけで判断せず、個別の支給要件を確認してください。
Q3. 賃上げと設備投資を同時に行いたい場合、どの制度が候補ですか?
事業場内最低賃金の引き上げと生産性向上のための設備投資を組み合わせるなら、業務改善助成金が有力な候補です。労働時間の短縮や年休取得促進も目指す場合は、働き方改革推進支援助成金も確認しましょう。
Q4. 助成金の申請は、設備購入や賃上げの後でもできますか?
制度によりますが、事前の計画提出や交付決定が必要なものがあります。業務改善助成金では、交付決定前の設備投資などは対象外です。実施前に必ず確認してください。
Q5. 複数の助成金を同時に申請できますか?
制度や対象経費、取り組みの内容によって異なります。併給調整や経費の重複などの制約があるため、複数制度を検討する場合は、各制度の窓口に確認することが重要です。
12. まとめ|賃上げを「コスト」だけで終わらせない
人手不足の時代に、賃上げは採用と定着を支える重要な経営課題です。しかし、利益が増えないまま人件費だけが上昇すれば、会社の経営を圧迫するリスクがあります。
そこで活用したいのが、厚生労働省の「賃上げ」支援助成金パッケージです。
今回紹介した8つの制度は、設備投資、職業訓練、処遇改善、人事制度、採用、在籍型出向など、それぞれ支援の目的が異なります。
経営者がまず行うべきことは、自社の課題を明確にし、その課題に合った制度を選ぶことです。
- 設備投資と最低賃金の引き上げを組み合わせる
- パートや有期雇用労働者の処遇を改善する
- 教育訓練によって従業員の能力を高める
- 人事制度や職場環境を整え、離職を防ぐ
- 採用・人材育成と賃金引き上げを一体的に考える
助成金を使えるかどうかだけでなく、賃上げ後も利益を確保し、従業員が働き続けられる会社をつくれるかという視点が重要です。
まずは自社が今後取り組みたいことを整理し、該当する制度の最新要件を確認するところから始めてみてください。
出典・公式資料
- 厚生労働省「『賃上げ』支援助成金パッケージ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/package_00007.html - 業務改善助成金(令和8年度)
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001694031.pdf - キャリアアップ助成金(令和8年度版)
https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001683860.pdf - 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
https://www.mhlw.go.jp/content/001696150.pdf - 人材開発支援助成金関連資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001687559.pdf - 人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001692265.pdf - 早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001689060.pdf - 早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001692267.pdf
※各制度の支給要件・助成額・申請期間は変更されることがあります。申請時点の最新資料をご確認ください。