【2026年7月企業倒産】2カ月連続で1,000件超え──リーマン・ショック後以来の異常事態。中小企業経営者が今、本当に見るべき数字とは

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2カ月連続で倒産1,000件超え。これは一時的な増加ではありません。

2026年8月10日、帝国データバンク(TDB)と東京商工リサーチ(TSR)が、それぞれ2026年7月の全国企業倒産状況を公表しました。

両社とも調査方法が異なるため件数には若干の違いがあります。

しかし、両社のデータが示している方向性は驚くほど一致しています。

「中小企業を取り巻く経営環境は、さらに厳しさを増している」

これが両調査から読み取れる最大のメッセージです。

特に今回注目すべきなのは、単純な倒産件数ではありません。

もっと重要なのは、

利益が残らない企業が急速に増えている

という構造的な変化です。

この記事では、帝国データバンクと東京商工リサーチ双方の調査を比較しながら、

・何が起きているのか
・なぜ起きているのか
・中小企業経営者は何を確認すべきなのか

を経営者目線で整理していきます。


結論

今回の倒産統計から読み取れることは非常に明確です。

倒産は景気悪化だけが原因ではありません。

むしろ、

利益が残らない企業が淘汰される時代

へ本格的に移行しています。

売上が伸びていても、

  • 原材料高
  • 人件費高騰
  • 金利上昇
  • 人材流出
  • 消費低迷

これらを吸収できなければ企業は簡単に資金繰りが悪化します。

つまり、

売上より利益

この視点が、これまで以上に重要になっています。


帝国データバンク・東京商工リサーチともに危機感を強める結果に

帝国データバンクでは、

2026年7月の倒産件数は

1,037件

前年同月比

8.5%増

となりました。

さらに、

2カ月連続で1,000件超え

これはリーマン・ショックの影響が残っていた2009年以来、およそ17年ぶりです。

一方、

東京商工リサーチでは

1,028件

前年同月比

6.9%増

こちらも2カ月連続で1,000件を超えています。

調査機関は異なりますが、

「倒産が増えている」

という結論は完全に一致しています。


実は件数以上に危険なのが負債総額

今回もう一つ注目すべき数字があります。

帝国データバンクでは

負債総額

2,341億円

前年同月比

40.6%増

東京商工リサーチでも

2,363億円

前年同月比

41.4%増

となりました。

背景には大阪の決済代行会社「株式会社全東信」の大型倒産がありますが、それを差し引いても負債総額は高い水準です。

つまり、

中小企業だけでなく、

一定規模以上の企業でも経営リスクが顕在化していることが分かります。


最も危険信号が出ているのは小売業

今回もっとも目立ったのは、

小売業

です。

帝国データバンクでは

234件

前年より27.2%増。

しかも、

2000年以降最多

を更新しました。

さらに、

飲食料品小売

飲食店

食品卸

など、

生活関連産業で増加が目立っています。

これは、

物価上昇による節約志向

価格競争

利益率低下

これらが重なった結果と考えられます。

売上はある。

しかし利益が残らない。

その典型例と言えるでしょう。


建設業も危険水域へ

建設業も200件を超えました。

帝国データバンクでは

207件

東京商工リサーチでも

200件

どちらも高水準です。

さらにTDBでは、

木造建築工事業だけで

今年7月までに

159件

過去10年で最多ペース。

背景には

・資材価格高騰

・住宅ローン金利上昇

・4号特例縮小

・人手不足

・価格転嫁できない

という複数要因があります。

つまり、

建設業は

「受注がない」

ではなく

利益が出ない

ことが最大の問題になっています。


過去最多を更新した「物価高倒産」

今回最も象徴的だった数字がこちらです。

物価高倒産

121件

過去最多。

原材料高だけではありません。

人件費上昇も急増しています。

つまり、

価格転嫁できない企業ほど、

利益を失い、

倒産へ近づいていることになります。

この流れは今後も続く可能性が高いでしょう。


販売不振だけでは説明できない時代

倒産理由を見ると、

販売不振は840件。

もちろん依然として最多です。

しかし、

今回の特徴は、

販売不振だけではありません。

物価

人件費

資材

外注費

金利

これらが複雑に絡み、

利益率を押し下げています。

つまり、

売上が横ばいでも、

利益がゼロになれば、

企業は資金繰りに行き詰まります。

ここが2026年の倒産の最大の特徴と言えるでしょう。


人手不足は「採用難」から「退職リスク」へ

今回興味深かったのが、

帝国データバンクが公表した

「従業員退職型倒産」

です。

今年1〜7月だけで

83件。

過去最多ペース。

特に、

建設業

サービス業

運送業

で増加しています。

背景には

賃上げ競争があります。

給与を上げられない企業から、

人材が流出する。

結果として、

事業が回らなくなる。

これからは、

採用だけでなく、

離職防止

が経営課題になります。


中小企業経営者が今すぐ確認すべき5つの数字

今回の統計を見て、経営者が毎月確認すべき指標は次の5つです。

  1. 売上ではなく「粗利益率・営業利益率」が維持できているか
  2. 原材料費・人件費・外注費の上昇を価格へ転嫁できているか
  3. 月次資金繰り表で、6〜12か月先までの資金残高を把握しているか
  4. キーパーソンへの依存度が高く、退職リスクが経営リスクになっていないか
  5. 借入返済と設備投資のバランスが崩れていないか

倒産は突然起きるものではありません。

多くの場合、数か月前から財務指標や資金繰りに兆候が現れます。


今後の見通し

帝国データバンクは、AI・半導体など成長分野の恩恵は主に大企業に及び、中小企業との規模間格差が拡大していると指摘しています。また、物価高、中東情勢、原油価格、熊本地震によるサプライチェーンへの影響なども、今後のリスク要因として挙げています。

東京商工リサーチも、2026年は年間倒産件数が1万1,000件を超える可能性が強まっていると分析しています。

つまり、2026年後半も「倒産の高止まり」が続く可能性が高く、経営者には利益管理・資金繰り・価格転嫁・人材定着を軸とした経営への転換が求められます。


まとめ

今回の倒産データは、「景気が悪いから倒産が増えた」という単純な話ではありません。

本質は、コスト上昇を吸収できず、利益を確保できない企業が増えていることにあります。

一方で、価格転嫁に成功し、付加価値を高め、利益を確保できている企業も存在します。

これからは「売上を伸ばす経営」だけでなく、「利益を残す経営」「現金を残す経営」への転換が、生き残るための重要なテーマになるでしょう。


出典

  • 帝国データバンク「2026年7月 倒産集計」
  • 東京商工リサーチ「2026年7月 全国企業倒産状況」
  • 帝国データバンク「木造建築工事業の倒産動向」
  • 帝国データバンク「従業員退職型倒産の動向」

※本記事は上記公表資料を基に事実を整理し、中小企業経営者向けの視点で分析・考察を加えています。

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