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「設備を入れ替えれば生産性が上がる」
「新しい機械を導入できれば受注を増やせる」
「この設備さえ導入できれば、会社を立て直せる」
そう分かっていても、問題になるのが設備投資の資金調達です。
設備投資の相談を受けた際、多くの場合、最初に検討するのは、
- 補助金
- 金融機関からの融資
- リース
といった方法でしょう。
決算内容が良好な会社なら、金融機関やリース会社との話も比較的スムーズに進みます。
ところが、業績が悪化していたり、債務が大きかったりすると状況は変わります。
「会社を立て直すために設備投資が必要なのに、その設備投資をするための資金が調達できない」
という問題が起こるからです。
そんなとき、知っておきたい制度があります。
それが、
「小規模企業者等設備貸与事業」
です。
あまり知られていませんが、一定の小規模企業者等や創業者が設備を導入する際に、道府県等の実施機関が設備を購入し、割賦販売またはリースによって企業へ提供する公的な設備投資支援制度です。
小規模企業者等設備貸与事業とは?
この制度では、企業が直接設備を購入するのではありません。
基本的な仕組みは、
①企業が設備を選ぶ
↓
②実施機関へ申し込む
↓
③実施機関が設備販売業者から設備を購入
↓
④企業と実施機関が割賦・リース契約
↓
⑤企業が設備を使用する
というものです。
添付資料の体系図でも、中小機構・都道府県・実施機関が事業原資を供給し、実施機関が小規模企業者等に設備を貸与する仕組みが示されています。
つまり、
「銀行からお金を借りて設備を買う」
という通常の設備資金とは違ったルートで設備投資を実現できるわけです。
利用限度額は最大1億円
制度資料では、設備価格の合計額について、
原則100万円以上1億円以下
とされています。
さらに1億円を超える場合についても、超過部分を「前納金」として納付する仕組みが示されています。
そのため、小規模な機械だけでなく、比較的大型の設備投資についても検討可能です。
メリット① リース料率が比較的低い
大きな特徴が、リース料率です。
資料では、リース期間中の設備購入価格に対して、
月額リース料率1~3%程度
とされています。
さらに令和7年4月現在の体系図では、目安として、
7年リース:約1.3%
10年リース:約1.0%
と記載されています。
たとえば600万円の設備を月額料率1.3%で利用すると、
600万円×1.3%=月額7万8,000円
です。
7年間なら単純計算で総額約655万円となります。
もちろん実際の料率や条件は各実施機関によって異なるため、所在地の実施機関への確認が必要ですが、設備投資額が大きい企業ほど比較検討する価値があります。
メリット② 最長10年で支払える
設備投資では「総額」だけではなく、
毎月いくらキャッシュアウトするのか
が非常に重要です。
この制度では、割賦・リースともに、
3年以上10年以内
の範囲で設備の耐用年数等によって期間が決まります。
期間を長く設定できれば、月々の資金負担を抑えながら設備を稼働させられる可能性があります。
設備が利益を生み、その利益から支払いを行う。
設備投資では、このキャッシュフロー設計が非常に重要です。
メリット③ 原則無担保
担保についても注目です。
資料では、
「原則として無担保」
とされています。
ただし、高額設備については担保が必要になる場合があります。
また保証人が必要になる場合には「経営者保証に関するガイドライン」に則って判断されます。
割賦の場合には保証金が必要になる場合がありますが、リースの場合は保証金不要とされています。
メリット④ 融資とは違う設備投資ルートを持てる
ここが経営者にぜひ知っておいてほしいポイントです。
業績が悪化すると、新規融資を受けにくくなることがあります。
しかし、
「業績が悪いから設備投資をしない」
では、さらに競争力が落ちてしまう場合があります。
例えば、
古い機械を使っている
↓
生産性が低い
↓
原価が高い
↓
利益が出ない
↓
決算内容が悪化
↓
融資が難しくなる
↓
設備更新できない
という悪循環です。
だからこそ、金融機関融資だけで設備投資の可否を判断するのではなく、
「ほかに設備を導入できる仕組みはないか?」
まで探すことが重要です。
小規模企業者等設備貸与事業は、その選択肢の一つになります。
ただし、「赤字なら使える」「リスケ中なら使える」という制度ではありません。
申請後には書類調査や実地調査等があり、実施機関による利用決定が必要です。
誰でも使えるわけではない
ここは重要です。
制度資料では、対象者として、
小規模企業者等(従業員50人以下の企業)または創業者
が示されています。
ただし、50人以下なら無条件に対象になるわけではありません。
小規模企業者は原則として、
常時使用する従業員20人以下
商業・サービス業については原則、
5人以下
です。
それを超える50人以下の事業者については、借入金残高、経常利益、大企業からの出資割合など追加要件があります。
「経営の革新」が重要
さらに既存企業の場合、単純な設備更新なら何でも対象になるというわけではありません。
制度では「経営の革新」に取り組む企業が対象とされています。
資料では、その目標として付加価値額または1人当たり付加価値額について、
3年間で9%
4年間で12%
5年間で15%
以上の増加が見込まれること。
さらに給与総支給額について、
3年間で4.5%
4年間で6%
5年間で7.5%
以上の増加が見込まれることが示されています。
つまり、
「設備が欲しいから申し込む」
ではなく、
「この設備を導入することで会社をどう改善するのか」
という事業計画が重要になります。
これは補助金申請とも非常によく似ています。
対象設備は機械だけではない
対象になるのは、事業に使用する設備またはプログラムです。
既存企業の場合、それによって前述した付加価値額・給与総支給額の向上が見込まれることが要件となります。
一方、土地や建物などは対象外です。
設備投資を検討するときには、
「自社が導入したいものが対象になるのか」
を事前に実施機関へ確認した方がよいでしょう。
すべての都道府県で使えるわけではない
ここも注意が必要です。
添付資料に掲載されている実施地域は、
北海道、宮城県、山形県、神奈川県、新潟県、山梨県、奈良県、大阪府、兵庫県、岡山県、山口県
となっています。
制度は所在地によって条件や実施状況が異なるため、必ず最新情報を各実施機関で確認してください。
補助金・融資・設備貸与を組み合わせて考える
設備投資の相談を受けると、
「何か使える補助金はありませんか?」
という質問を非常によく受けます。
しかし、本来は補助金だけを見るべきではありません。
設備投資を実現するためには、
補助金
+金融機関融資
+一般リース
+公的設備貸与制度
という複数の選択肢を比較するべきです。
特に業績が悪化している企業ほど、
「銀行に断られた=設備投資できない」
と考えないことです。
会社を立て直すために本当に必要な設備なのであれば、利用できる制度を幅広く調べる価値があります。
小規模企業者等設備貸与事業は、まだ経営者の認知度が高い制度とはいえません。
だからこそ、設備投資を検討するときにはぜひ覚えておきたい制度の一つです。