飲食料品の消費税1%で飲食店が危ない?減税の裏で進む「倒産リスク」を経営者目線で解説

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飲食料品の消費税1%は本当に「良い政策」なのか?

政府は2027年4月から2年間限定で、飲食料品の消費税率を1%(さらに給付により実質0%)へ引き下げる方向で調整を進めています。

物価高に苦しむ家庭にとっては歓迎すべき政策でしょう。

しかし一方で、この政策が飲食店、特に中小・個人経営店にとっては極めて厳しい環境を生み出す可能性があります。

実際、外食業界団体も税率差拡大に反対声明を出しており、帝国データバンクなども外食需要への影響を分析しています。

今回は、飲食業界にどのような変化が起きるのかを整理します。


① 外食より「内食」「中食」が圧倒的に有利になる

現在でも

・スーパー
・コンビニ
・惣菜
・テイクアウト

には軽減税率が適用されています。

今回さらに税率が1%になると、

店内飲食10%
食料品1%

となり、

税率差は9%

まで拡大します。

つまり、

「今日はスーパーのお惣菜でいいか」

という判断が今まで以上に増える可能性があります。

帝国データバンクでも、

外食需要は
「代替効果」と「所得効果」の綱引きになる

と整理しています。

つまり、

・内食へ流れる人
・外食を続ける人

の両方が存在しますが、

価格競争が激しい日常利用の飲食店ほど影響を受けやすくなります。


② テイクアウトがさらに有利になる

飲食店の中でも

・テイクアウト

・デリバリー

は軽減税率対象です。

つまり

同じ店舗でも

店内飲食10%

持ち帰り1%

という状態になります。

そのため、

店内利用よりも持ち帰り需要が増える可能性があります。

一方、

すべての飲食店が簡単にテイクアウトへ転換できるわけではありません。

例えば

・居酒屋

・焼肉

・寿司

・ラーメン

などは、

業態上テイクアウトとの相性に限界があります。


③ 食材価格がさらに上昇する可能性

見落とされがちなのが、

食材需要の増加です。

内食需要が増えると

スーパーなどが大量に仕入れるため、

食材価格がさらに上昇する可能性があります。

つまり、

飲食店は

・売上減少

・仕入価格上昇

という二重苦になる恐れがあります。


④ 実は一番怖いのは「消費税納税」

飲食店専門コンサルタント成田良爾氏が最も危惧しているのが

納税資金不足

です。

現在は

仕入8%

売上10%

で差額2%を納税しています。

しかし

食材が1%になれば

売上10%

仕入1%

となるため、

納税額が大幅に増えるケースがあります。

月商200万円程度の小規模店でも

年間納税額が約2倍になる可能性も指摘されています。

減税によって毎月の資金繰りは一時的に楽になっても、

納税時に資金不足となる店舗が増える懸念があります。

これは非常に重要なポイントです。


⑤ 倒産リスクがさらに高まる理由

現在でも飲食店は

・原材料高

・最低賃金上昇

・人手不足

・光熱費高騰

に苦しんでいます。

さらに

・客数減少

・納税増

・仕入価格上昇

まで重なると、

特に個人店は資金繰り悪化が一気に進む可能性があります。

2026年上半期の飲食店倒産件数は過去最多を更新しており、この政策が追い打ちとなる可能性は否定できません。


ただし「外食がすべて減る」とは言い切れない

一方で、

ぐるなびの消費者調査では、

外食頻度は

「現状維持」が約73%

となっています。

また、

「減税で浮いたお金を外食に使う」

という回答も一定数ありました。

つまり、

外食市場全体が急激に縮小するとは限りません。

むしろ、

今後は

価格ではなく体験価値で選ばれる店

がさらに強くなるでしょう。

帝国データバンクも、

高付加価値レストランや体験型業態は影響が限定的になる可能性を示しています。


飲食店が今から取るべき5つの対策

今回の制度が実現した場合、中小飲食店には次の対応が重要になります。

  1. キャッシュフロー管理を最優先にする
  2. 消費税納税資金を毎月積み立てる
  3. テイクアウト・デリバリー比率を見直す
  4. 「価格」ではなく「体験価値」を高める
  5. メニュー構成・価格設計を再検討する

売上だけを見る時代ではなく、

「お金が残る経営」

への転換が不可欠になります。


まとめ

食料品の消費税1%は、

家計にとっては歓迎される政策です。

しかし、

飲食店、とりわけ中小・個人経営店にとっては、

  • 外食から内食・中食へのシフト
  • 食材価格上昇
  • 消費税納税額の増加
  • 資金繰り悪化

という複数のリスクが同時に押し寄せる可能性があります。

もちろん、実際の影響は制度設計や価格転嫁の状況、所得環境、業態によって異なります。一方で、「減税だから飲食店も助かる」と単純には言えない点は、経営者として押さえておくべき重要な視点です。

今後の制度決定とともに、自社のキャッシュフローや価格戦略を早めに見直すことが、生き残りへの第一歩となるでしょう。


引用・参考資料

  • ロイター「高市首相、飲食料品消費税『実質ゼロ』指示」(2026年7月30日)
  • 関西テレビ「高市総理が方針『食料品の消費税1%』で飲食店が“大量倒産”か」(2026年7月31日)
  • 帝国データバンク「食料品の消費税率引き下げが外食産業に与える影響整理」(2026年2月10日)
  • ぐるなびPRO「【消費者調査】食料品の消費税0%になったら外食はどう変わる?」(2026年5月14日)
  • Newsweek日本版/ロイター配信「高市首相、飲食料品消費税『実質ゼロ』指示」

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