円安倒産、50カ月連続発生の衝撃|中小企業が今すぐ確認すべき資金繰りリスクとは

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はじめに

東京商工リサーチが2026年9月1日に公表した最新データによると、「円安」を要因とする企業倒産が2022年7月から50カ月連続で発生し、2026年1〜8月の累計は前年同期比30.2%増のペースで進んでいます。同時に、新型コロナウイルス関連の経営破たんも累計1万4,567件に達し、月間100件台の高止まりが続いています。円安・物価高・コロナ融資の返済負担が重なる今、中小企業経営者はどこに注意すべきか、データに基づいて整理します。

結論

円安倒産は件数ベースで明確な増加トレンドにあり、2026年通年では2024年(83件)を上回る可能性が出てきました。負債総額自体は縮小しており、これは大型倒産ではなく中小・零細規模の倒産が広がっていることを示しています。輸入依存度が高い業種や、コロナ融資の返済負担を抱える企業は、早めの資金繰り点検が必要です。

制度・ニュースの概要

発表元は東京商工リサーチ(TSR)、発表日は2026年9月1日です。2026年8月の「円安」倒産は5件(前年同月比16.6%減)で、単月では減少したものの、2022年7月からの連続発生記録は50カ月に達しました。2026年1〜8月の累計は56件(前年同期比30.2%増)です。あわせて発表された新型コロナ関連の経営破たんは、8月時点で109件、2020年2月の第1号発生から累計1万4,567件に達しています。

今回の重要ポイント

  • 円安倒産は2022年7月から50カ月連続で発生。単月の増減にかかわらず、構造的な傾向として続いている。
  • 2026年1〜8月累計は56件(前年同期比30.2%増)で、2024年通年実績(83件)を上回るペース。
  • 8月の負債総額は5億4,700万円(前年同月比85.2%減)と縮小。最大の倒産は輸入洋品雑貨販売の(株)タツミヤインターナショナル(大阪)で負債3億円、円安による仕入費用上昇が要因とされる。
  • 業種別では小売業・卸売業に集中(8月は小売業2件、卸売業4件)。
  • 新型コロナ関連の経営破たんは8月に109件で、2026年では最も少ない月となったが、累計は1万4,567件に達し、コロナ破たん率は全国企業の0.405%(250社に1社)。都道府県別では東京都(0.692%)、福岡県(0.661%)で破たん率が高い。

背景

政府・日銀は2026年に総額27兆1,342億円の為替介入を実施しましたが、円安基調は継続しています。円安は輸入材の価格上昇を通じて幅広い物価高の要因となっており、資金力・収益力に乏しい企業ほど収益悪化の影響を受けやすい状況です。あわせて、コロナ禍で借り入れた融資(いわゆるゼロゼロ融資等)の返済負担が本格化している企業が多く、円安・物価高・人件費上昇・コロナ融資返済という複数の負担が同時に重なっています。

中小企業への影響

輸入原材料や輸入商品に依存する小売業・卸売業は、仕入コストの上昇が直接的に利益を圧迫しやすい状況です。また、直接輸入をしていない企業でも、仕入先や外注先を通じて間接的にコスト増の影響を受けるケースがあります。負債総額が減少している点は、大型倒産が減った一方で、中小・零細規模の倒産の裾野が広がっていることを意味しており、件数増加の裏にある構造変化に注意が必要です。

注意点・落とし穴

「負債総額が減っているから危機は和らいでいる」という見方には注意が必要です。件数は前年同期比で3割増加しており、より広範囲の中小企業に影響が及んでいる可能性があります。また、「自社は円安と無関係」と考えている企業でも、間接的な仕入コスト増の影響を受けていないか確認が必要です。

経営者が取るべき対応

  • 自社の仕入原価に占める輸入品・輸入原材料の割合を確認する
  • 直近1〜2年の粗利率の推移を確認し、コスト増の影響を数値で把握する
  • コロナ融資(ゼロゼロ融資等)の残高・返済スケジュール・据置期間の終了時期を確認する
  • 最低6カ月分の資金繰り表を作成・更新する
  • 資金繰りに不安がある場合は、早期に金融機関や信用保証協会へ相談する

今後の見通し

TSRは、資金力・収益力の乏しい企業を中心に「円安」倒産はしばらく増勢をたどる可能性が高いとしています。また、コロナ融資の返済に苦慮する企業の脱落を中心に、コロナ破たんは当面月間100件台で推移するとみられています。次回の全国企業倒産状況(2026年8月度)は2026年9月8日に発表される予定です。

まとめ

円安を要因とする倒産は2022年7月から50カ月連続で発生し、2026年は前年を大きく上回るペースで増加しています。同時にコロナ関連の経営破たんも累計1万4,567件に達し、複数のコスト増要因が中小企業経営を圧迫し続けています。負債総額の縮小に安心せず、自社の輸入依存度・粗利率・コロナ融資の状況を早めに点検することが重要です。

出典

  • 東京商工リサーチ「TSRデータインサイト」2026年8月の「円安」倒産 5件 50カ月連続発生、1-8月は合計56件(2026/09/01)
  • 東京商工リサーチ「TSRデータインサイト」新型コロナ破たん、8月は一転してことし最少(2026/09/01)

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