中小企業の人手不足対策や生産性向上のための設備投資を支援する、「中小企業省力化投資補助金(一般型)」。
2026年7月31日(金)17時をもって、第7回公募の申請受付が終了しました。
そして同時に、次回となる「第8回公募」の予定スケジュールが公開されています。
現時点で公表されている予定は、次のとおりです。
| 項目 | 第8回公募予定 |
|---|---|
| 公募開始 | 2026年8月中旬予定 |
| 申請受付開始 | 2026年9月中旬予定 |
| 公募締切 | 2026年10月中旬予定 |
| 採択発表 | 後日発表 |
つまり、第7回が終わったからといって、しばらく時間が空くわけではありません。
第8回公募は8月中旬にはスタートし、10月中旬には締め切られる予定です。
申請を検討している企業にとっては、まさに今から準備を始めるべきタイミングといえます。
なお、第8回の正式な公募要領はまだ公表されていないため、制度内容については変更される可能性があります。
本記事では、現時点で最新の第7回公募の内容をベースに、
- 第8回公募のスケジュール
- 省力化投資補助金(一般型)とは何か
- 補助金額・補助率
- 対象となる設備投資
- 重要な賃上げ等の要件
- 採択されるための審査ポイント
- 第8回に向けて今から準備すべきこと
をわかりやすく解説します。
Contents
- 1 2.そもそも「省力化投資補助金・一般型」とは?
- 2 3.最大1億円!補助上限額は従業員数によって変わる
- 3 4.どんな設備が対象になる?
- 4 5.「市販設備を買うだけ」では弱い
- 5 6.補助対象となる主な経費
- 6 7.最大の注意点は「賃上げ等の基本要件」
- 7 8.要件を達成できない場合は「補助金返還」の可能性も
- 8 9.採択されるために重要な4つのポイント
- 9 10.第8回では「加点項目」も忘れずに
- 10 11.ソフトウェア・システム開発案件は「口頭審査」にも注意
- 11 12.第8回を狙うなら「公募開始を待ってから」では遅い
- 12 13.第8回に向けて今からやるべきこと
- 13 まとめ|第8回公募は10月中旬締切予定。準備は今から
1.第8回公募は「2026年10月中旬締切」予定
まず押さえておきたいのが、第8回公募のスケジュールです。
公式スケジュールでは、第7回は2026年6月5日に公募開始、7月1日に申請受付を開始し、7月31日17時に締め切られました。
次の第8回については、
2026年8月中旬:公募開始予定
2026年9月中旬:申請受付開始予定
2026年10月中旬:公募締切予定
とされています。
さらに公式資料では、一般型について年間3~4回程度の公募を予定しており、第9回についても詳細が確定次第更新するとされています。
したがって、省力化投資補助金は2026年後半も継続的に活用できる可能性が高い制度と考えられます。
ただし、第8回については現時点では「予定」です。
正式な公募開始日、締切日時、制度内容については、第8回公募要領の公開後に必ず確認してください。
2.そもそも「省力化投資補助金・一般型」とは?
省力化投資補助金(一般型)は、人手不足に悩む中小企業等が、
IoT、AI、ロボット、センサー、システムなどを活用して業務を省力化するための設備投資
を支援する補助金です。
第7回の応募申請の手引きでは、
中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするため、人手不足に悩む中小企業等がIoT・ロボット等の人手不足解消に効果があるデジタル技術等を活用した専用設備を導入する
ことなどを目的としています。
ポイントは、単純に「新しい設備を買うための補助金」ではないことです。
人が行っている業務を設備・システム等によって省力化し、そこで生まれた人的リソースをより付加価値の高い業務へ振り向ける。
そして最終的に、
生産性向上 → 付加価値向上 → 賃上げ
につなげていくことが制度の重要な考え方です。
3.最大1億円!補助上限額は従業員数によって変わる
第7回公募では、補助上限額は従業員数によって次のように設定されています。
| 従業員数 | 通常の補助上限額 | 特例適用時 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 6~20人 | 1,500万円 | 2,000万円 |
| 21~50人 | 3,000万円 | 4,000万円 |
| 51~100人 | 5,000万円 | 6,500万円 |
| 101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
つまり、一定の要件を満たせば、最大1億円まで補助上限額が引き上げられます。
補助率は原則として、
中小企業:1/2
小規模企業者・小規模事業者・再生事業者:2/3
となっています。
※第8回では変更される可能性があります。
4.どんな設備が対象になる?
省力化投資補助金一般型では、単なる設備更新ではなく、自社の業務プロセスを省力化する設備・システム投資であることが重要です。
例えば、
- 製造工程を自動化するロボット
- AIを活用した検査設備
- 自動搬送設備
- IoTを利用した生産管理システム
- 受発注や在庫管理を自動化するシステム
- 複数設備を組み合わせた自動化ライン
- 自社業務に合わせて構築する専用システム
などが考えられます。
第7回では「オーダーメイド設備」について、ICT・IoT・AI・ロボット・センサー等を活用し、事業者個々の業務に応じて専用設計された機械装置やシステムなどと説明されています。
5.「市販設備を買うだけ」では弱い
ここは省力化投資補助金一般型を理解するうえで非常に重要です。
一般型では、
「設備を買えば採択される」わけではありません。
カタログ注文型と比較して一般型では、
- どの程度の省力化効果があるのか
- どれだけ付加価値が向上するのか
- 事業規模に見合った投資なのか
- 自社固有の業務課題に対応しているのか
- 作業工程やレイアウトに合わせた設備になっているか
- 独自性・革新性があるか
などが総合的に審査されます。
したがって、
「古くなった機械を最新機種へ入れ替えたい」
だけでは十分とはいえません。
6.補助対象となる主な経費
第7回までの制度では、主に次の経費が補助対象となっています。
| 経費 | 内容 |
|---|---|
| 機械装置・システム構築費 | 機械、設備、専用ソフトウェア、システム等 |
| 運搬費 | 設備等の運搬費 |
| 技術導入費 | 知的財産権等の導入 |
| 知的財産権等関連経費 | 特許等の取得に必要な経費 |
| 外注費 | 専用設備の設計等の外注 |
| 専門家経費 | 専門家への謝金等 |
| クラウドサービス利用費 | 補助事業に必要なクラウドサービス |
一般型では、50万円(税抜)以上の設備投資が必要となります。
また、機械装置・システム構築費以外の経費には、それぞれ上限等があります。
7.最大の注意点は「賃上げ等の基本要件」
この補助金を検討するときに、補助金額だけを見てはいけません。
非常に重要なのが、採択後に達成すべき基本要件です。
第7回までの制度では、大きく、
①労働生産性の向上
②1人当たり給与支給総額等の増加
③事業場内最低賃金の引き上げ
④一般事業主行動計画の公表(対象事業者)
などが設定されています。
特に重要なのが賃金関係です。
事業場内最低賃金については、原則として、
事業実施都道府県の最低賃金+30円以上
の水準とすることが求められています。
また、1人当たり給与支給総額についても、一定以上の年平均成長率を達成する計画が必要です。
さらに、省力化投資による生産性向上についても事業計画へ反映させる必要があります。
つまり、
「補助金がもらえるから設備を買う」
という発想ではなく、
「設備投資によって生産性を高め、その成果を賃上げへ還元できるか」
まで考えて申請する必要があります。
8.要件を達成できない場合は「補助金返還」の可能性も
省力化投資補助金では、計画時に設定した一部の要件を達成できなかった場合、補助金返還が発生する可能性があります。
例えば事業場内最低賃金について、所定の水準を達成できなかった年度がある場合には、一定額の返還を求められる仕組みがあります。
また、1人当たり給与支給総額等についても、未達の場合には返還が生じる可能性があります。
そのため、事業計画では、
「採択されやすいように高い数字を作る」
ことより、
実際に会社が達成できる現実的な事業計画を作ること
が極めて重要です。
9.採択されるために重要な4つのポイント
では、どのような計画が評価されるのでしょうか。
第7回までの審査内容や事業計画作成ガイドを見ると、大きく次の4点が重要です。
①どの業務がボトルネックなのかを明確にする
まず、
「人手不足だから設備を入れたい」
では不十分です。
現在の業務工程を分解し、
「どの工程に何人かかっているのか」
「何時間かかっているのか」
「なぜそこがボトルネックなのか」
まで明確にする必要があります。
公式の事業計画書作成ガイドでも、現在の経営環境・業務プロセスを把握し、どこを設備投資で省力化できるのか、ボトルネックはどこなのかを明らかにすることが重要とされています。
②省力化効果を「数字」で示す
次に重要なのが、省力化効果です。
例えば、
導入前:1日5時間×3人=15時間
導入後:1日2時間×1人=2時間
であれば、
1日13時間の省力化
となります。
「効率化できます」ではなく、
何人分、何時間、何%削減できるのか
まで数字で示すことが重要です。
審査でも「省力化指数」が重要な評価項目となっています。
③浮いた人材をどこへ再配置するのか
そして、ここが一般的な設備補助金との大きな違いです。
省力化して終わりではありません。
省力化によって生まれた時間・人材を何に使うのか
まで計画する必要があります。
例えば、
製造作業を自動化
↓
作業時間を削減
↓
人材を品質管理・営業・商品開発へ配置
↓
売上・利益向上
↓
付加価値額向上
↓
賃上げ
というストーリーです。
公式ガイドでも、省力化で捻出できるリソースをどこへ振り向ければ業績向上・賃上げにつながるかという視点が重要とされています。
④会社全体への効果まで描く
もう一つ重要なのが、
「その設備を導入する部署だけの改善」で終わらせないこと
です。
審査では、省力化によって生まれた時間や労働力を高付加価値業務へ振り向け、会社全体のリソースを最適化できるかという観点も重視されています。
したがって、
設備 → 工程改善 → 人材再配置 → 売上向上 → 付加価値向上 → 賃上げ
まで一貫した計画を作ることが重要です。
10.第8回では「加点項目」も忘れずに
第7回公募では複数の加点項目が設けられています。
例えば、
- 事業承継・M&A
- 事業継続力強化計画
- 成長加速マッチングサービス
- 賃金関連の加点
- えるぼし
- くるみん
- 省力化ナビ
- 健康経営優良法人
- 生産性向上支援センター利用
などです。
特に注目したいのが、「省力化ナビ加点」です。
第7回では、締切日までに中小機構の「省力化ナビ」を活用して生産性向上の知見を確認し、所定の条件を満たすことで加点対象となります。
また、2026年4月から全国47都道府県のよろず支援拠点内に設置された「生産性向上支援センター」の支援を受け、「生産性向上取組計画書」を作成・提出する場合も加点対象となっています。
第8回で同じ加点制度が継続されるかは正式な公募要領を確認する必要がありますが、活用できる加点は早めに準備しておくことをおすすめします。
11.ソフトウェア・システム開発案件は「口頭審査」にも注意
第7回では、ソフトウェア投資やシステム開発など、書面だけでは計画の詳細を正確に理解することが難しい案件を中心として、一定の基準で選定された事業者にオンラインによる口頭審査が実施されます。
口頭審査は30分程度を予定し、申請事業者自身、原則として法人代表者等が対応することになっています。
つまり、
「申請書はコンサルタントに任せたので、社長自身は内容を説明できない」
という状態では危険です。
設備を導入する理由、省力化効果、投資判断、将来の事業計画について、経営者自身が説明できる状態にしておく必要があります。
12.第8回を狙うなら「公募開始を待ってから」では遅い
第8回の公募開始は2026年8月中旬、締切は10月中旬予定です。
一見すると約2か月あります。
しかし実際の申請準備では、
設備メーカーとの打ち合わせ
→ 導入設備の選定
→ 見積取得
→ 現在の業務工程分析
→ 省力化時間の算定
→ 省力化指数等の算定
→ 付加価値計画の作成
→ 賃上げ計画の策定
→ 事業計画書作成
→ 必要書類収集
→ 電子申請
という作業が必要になります。
さらに、申請にはGビズIDプライムが必要です。
第7回の手引きでも、GビズIDプライムの発行には一定期間を要するため、早めに準備するよう案内されています。
そのため、
「8月中旬に公募要領が出てから考えよう」
ではなく、
8月の段階で設備・投資内容・省力化効果の検討を開始する
くらいがちょうど良いでしょう。
13.第8回に向けて今からやるべきこと
申請を検討している企業は、まず次の順番で準備してください。
- 省力化したい業務を洗い出す
- 現在の作業人数・作業時間を測定する
- 導入候補設備・システムを選定する
- 設備メーカー等から見積・仕様書を取得する
- 導入後に何時間削減できるか計算する
- 省力化した人材をどこへ再配置するか決める
- 売上・利益・付加価値額への効果を計算する
- 賃上げ計画を確認する
- 利用できる加点項目を確認する
- GビズIDプライムを準備する
特に重要なのは、最初から申請書を書くことではありません。
「どこを省力化するのか」
「何時間削減できるのか」
「浮いた時間を何に使うのか」
この3点を固めることから始めるべきです。
まとめ|第8回公募は10月中旬締切予定。準備は今から
2026年7月31日17時、第7回公募が終了しました。
そして、すでに次回となる第8回公募のスケジュールが公表されています。
予定では、
公募開始:2026年8月中旬
申請受付開始:2026年9月中旬
締切:2026年10月中旬
です。
省力化投資補助金一般型は、従業員規模等によって最大1億円まで補助を受けられる可能性がある、非常に大型の設備投資支援制度です。
一方で、単純な設備購入ではなく、
現状の業務課題
→ ボトルネック
→ 設備投資
→ 省力化
→ 人材再配置
→ 付加価値向上
→ 賃上げ
という一貫した事業計画が求められます。
第8回の正式な公募要領が公開されてから細部が変更される可能性はありますが、制度の基本的な方向性が大きく変わらなければ、今から準備できることは数多くあります。
第8回公募への申請を検討している企業は、8月から設備選定・見積取得・業務工程分析を開始することをおすすめします。
注意
※本記事は2026年8月2日時点で公表されている情報および中小企業省力化投資補助事業(一般型)第7回公募の公募要領・応募申請の手引き等をもとに作成しています。第8回公募については現時点でスケジュール予定のみが公表されており、補助対象者、補助率、補助上限額、要件、加点項目等が変更される可能性があります。申請時には必ず最新の第8回公募要領をご確認ください。